朝露の自領律儀に巡る猫
急に秋がやってきて一番驚いたのが朝の露である。
あれほど暑さにうだっていたのが、一夜で庭に露がびっしり降りているのを見ると季節の劇的な変化に驚かされるのである。
飼い猫のみぃーちゃんは、露を避けるでもなく草を踏んでテリトリーの検分にいとまがない。
しかし、あれほど密に敷いていた露も日が昇るといつの間にか消えていて、古人はかなさの代名詞として歌に詠み込んできたのである。俳句もむろん露は代表的な季題として数々の名句が生まれている。
露の世は露の世ながらさりながら 一茶
は彼の境遇ともあわせ広く知られた句であるが、俳句としての完成形からいえば、
金剛の露ひとつぶや石の上 茅舎
は一級の写生句として、物覚えの悪い自分でもすぐに口をついて出てくるほどである。
早くも露が詠まれる季節になったのですね。
これほど季節の移り変わりが早いと露から霜への変化もそう遠くないかもしれませんね。
私が今月書いているかな書にも露が詠まれています。
おき明かす秋の別れの袖の露霜こそ結べ冬や来ぬらん 俊成
今年の初霜は半月ほど前、ずいぶん早く降りました。直前までうだっていたのに、天は本当に気まぐれです。
霜だって意外に早く降りるかもしれないですね。