馨しのけふあらたしき刈田かな
日中は30度を確認。
ここのところ晴天が続き28、9度近辺でそれほど句にならなかったのが、たった1、2度上がっただけでこれほど暑く感じてしまうのは不思議だ。熱気が漂う菜園ではかぐわしい稲の匂いが全身を覆う。
信貴山から流れ出る水の深い谷に沿って棚をなしながら田が続くが、今日からその一番下の田で稲刈りが始まったのだ。これから順々に上へと刈り取りが進んでゆく。苅ったばかりの田の匂いというのは独特で、稲と稲藁の入り交じったどこかゆたかな香りが辺りを立ちこめて思わず胸を開いて深呼吸するのが心地いい。
今日は虫喰いがすごいことになっている白菜に焼酎と酢の混ぜたものをぶっかけて活を入れてやった。
棚田は機械が入らないのでおそらく昔ながらの手作業なんでしょうね。
下から上へというのも鉄則なのかもしれません。
稲の独特な匂いが香り立ってくるような感じです。
棚田と言っても山間部の狭隘なものではなく、コンバインが出動できる大きさはあります。菜園の上の田は無農薬で流れてくる水に安心しています。
馨しのけふあらたしき刈田かな
これは好い句ですね。刈り取った田に、大和の都を想う”馨しい”と言う言葉を被せるなんて、ほたかさんの語彙さばきには感嘆の一言です。稲刈りの描写も絵画を眺め遣るようで、とても素敵です。でも、少しばかり奈良を知っている私としては、ホンマにこんな所、あるんかいな?と疑ってしまいます。
いやいや、住めば都で、周りを見渡せば、あるいは現地に立てば新しい発見がいくつもあります。
この句は客観写生という結社の宗旨をはずし、万太郎的気分でわりに考えて作ったところがあります。
最近岩波文庫から「久保田万太郎俳句集」が出て、読んでみようかなという気にさせられています。
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
自然詠ではよそよそしくなる。人生慨嘆、礼賛、そういう句風にこそ憧れます。