颱風の進路に期する土煙
盆地の中央部には南から北へ雨がよく通るようである。
一方で、北に生駒山地、東に法隆寺裏から続く矢田丘陵にはさまれ、南に大和川を接する三角地にあたる当町は雨雲のエアポケットであるらしい。県下に夕立の予報が出ていてもまず降らないとみていい。
これは、生駒山地と金剛山地の狭間を流れ大阪へぬける大和川がまるで鞴のような格好となり雨雲は吹きぬけてしまうのである。
だから当町の地理的な形はいわば風が渦を巻くように停滞するエリアなのである。
毎日のように奈良市内では激しい夕立や台風による雨が降るが、当町にはお呼びがかからない。
田はさいわいに山の水を溜めた貯水池があるので、特段の旱でもないかぎり困ることはないようである。
ニュースでは米どころ南魚沼では川の水を水源としている地域では、川の水流が細りあと二三日雨が来ないと稲は枯れてしまうという厳しい現実を見せられた。
温暖化現象というのは触れば土砂降り、降るところには降るが降らないところには降らない。ほどほどの水量というのは難しいようである。
九州では台風6号に伴い線状降水帯が発生、さらに小笠原では台風7号が、踏んだり蹴ったりの情況。
今キッチンのドアを開けたらいきなり蝉が飛び込んできて大暴れ、連れ合いが何とか捕まえて逃がしてやった。
その蝉は珍しく茶色い羽根のアブラゼミであった。
そちらでも油蝉は珍しいものになったのですね。小さい頃から油蝉で始まった夏休みのイメージがあるので、昭和はほんとに遠くなったのだと感じます。
ほだかさんのコメントがとても素敵。
曰く;
「これは、生駒山地と金剛山地の狭間を流れ大阪へぬける大和川がまるで鞴のような格好となり雨雲は吹きぬけてしまうのである。」
まるで司馬遼さんの『街道をゆく』の文章みたい。
このあとに、”天誅組も、この鞴に吹き散らされるように、十津川に落ち延びていったのである。” と続けば、名調子そのもの。
PS 南魚沼。先週、奥会津を巡ってきました。福島を流れる只見川も周囲の
田を潤し、それはそれは豊かな緑の稲穂が広がっていました。
いやあ、大作家と並べられては気恥ずかしい。住んでいて毎度不思議に思う地理感覚なのです。坂下500メートルの大和川以南はよく雨が通りますが、こちらはさっぱり。
いいところを旅されましたね。日本海側はここのところフェーン現象で高温が続いているとか。暑い旅行だったことでしょう。