熊野のサンマ、やーい。

食積の一段で足る暮らしかな

久しぶりの夫婦だけの正月。

洋食化、冷蔵庫など保存機器の発達、そして何より屠蘇一滴も飲めない夫婦とあらば、ここ数年重箱に詰めるほどの量や種類のお節などは作らないようになった。
それに味付けが随分薄くなったことも関係してようか、エビだの昆布巻だの味の濃いものはすっかり敬遠されて、用意されるのは、せいぜい、豆の煮たもの、田作り、酢の物、数の子、あとは蒲鉾などの練り物くらい。それも、およそ1、2食で食べきれる程度の量である。

元日の夕食となれば、もう茶粥とサンマ丸干し一本でさっぱりいきたくなってしまう。
ただ、今年はいつも頼みとしている干物屋の体調がわるいらしく、熊野の丸干し、生節が手に入らない。
こんな時勢だから、取り寄せの店は他にいくらでもありそうだが、これとて初めてのところでは、どんなものを食わせられるか分かったものではないし。そのうえ、やたら値段が高いのだという。
この店のものは、年末の贈答に使っても決して見劣りしない見事なものだけに、毎年楽しみにしてくれてる方面からは、どうしたの?と聞かれる始末。

この、庶民のやさしい味方・秋刀魚丸干しと、餅入り茶粥を食って初めて正月気分に浸れると言うに、今年は何と言うか、画竜点睛を欠くというか、なんとも締まらない正月ではある。
干物屋は歳も同じくらい。まだまだ寝込むような年代ではないのだから、早くカムバックしてくれないかな。

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