米野球

イチローの苦悩からめり葛の蔓

イチローもやはり人の子だったか。
連続200本ヒットの記録は少なくとも40歳になるまでは楽々達成するものと思っていたが、何が原因か今年は途切れそうである。
苦しんでいるのはもちろん本人だろうが、我々もため息をつきながら見守っている。
もしも、記録が途絶えてもこれまでの苦行に拍手を送りたい。

掃除当番

仕舞い湯を落とし一人の更待月

最近、我が家では最後に風呂に入った者が浴槽を掃除するルールを定めた。

本来は防災のため浴槽に水を張っておくほうがいいのだろうが、とくに冬など寒い翌朝の作業では濡れたくないし、前屈みの姿勢が辛くなってきたという問題もある。
ほとんどが宵っ張りの私の役目だが、湯を抜き浴室さっぱり、家人がそれぞれ自分の時間に浸っている夜ひとりで月を見るのもいいものだ。

気になる天気

明けの空いくど眺めつ運動会

三連休ですね。
ふたご台風が近づいていて天気が気になります。
運動会が予定されているところが多いのではないでしょうか。
これも二十年以上も前の話になりますが、運動会の主催側だったことがあります。
その日は空模様が微妙で、朝一番で実施または中止の決断をしなければならず、午前三時頃に起きては空のチェック。
日中なんとか天気がもって、無事に終了できたときはさすがにほっとしました。

月の光で見えるもの

残り寿命は見たきものだけ寝待月

月夜は明暗が深い。
すべてが見える昼間に対して、月明かりの下では照らされたものしか見えないし、シルエットに浮かんだ光景は昼間のものとまったく違う姿を見せることがある。
だから、この月光の意外な効果をうまくカメラに納められればより強く主題を浮き立たせた印象深いものになる。
待合室で拾い読みした雑誌、被災地のグラビアの迫力には圧倒されるものがあった。

小さな命

こほろぎが夜釣りの友の沖堤かな

20年以上も昔だろうか。
当時はクロダイにのめりこんでいて、休みとなると昼は磯間、夜は堤防に張り付いていたものだ。
ある夜のこと、横浜沖の堤防に渡してもらっていつものように堤防を探っていたら、こおろぎの鳴き声が聞こえてくるではないか。
舟か人の荷物に潜りこんでそのまま居ついてしまったのだろうが、海が荒れたらひとたまりも無い命が哀れだった。

音のない空

頭上行く旅客機灯や虫の夜

自宅あたりは羽田から西へ向かう旅客機の飛行コースになっている。
おそらく高度はすでに3,000、4,000メートルは超えているだろうから音は聞こえないが、天気がよく空気が澄んでいるときは機影をはっきりと視認できる。
夜には飛行灯を点滅させながら西へ向かうが、昼間に比べてその速度がゆっくりに見えるのは不思議だ。

困ったことは、最近米軍か自衛隊の飛行コースが変更になったらしく戦闘機らしきものが低空で飛ぶようになったことだ。
基地の近隣住民の苦労を思う。

落ち着いた夜

十六夜や司馬遼太郎に栞かな

最近は司馬ものを続けて読んでいる。
ひと頃より夜は随分しのぎやすくなっているので、テレビを消して静かに本を開くのもいいものだ。
ただ、昨日の十五夜を見逃しているので、今宵は本を置いて外に出てみた。