あるかなきかの

強東風の攫ふ拝観しをりかな

花か香か。

折しも、菅原の里では梅が満開で、菅原神社では盆梅展が開かれているが、とくとく思うに梅の魅力はやはりその香りにあるのだろう。兼好さんに反論する訳ではないが、やはり梅は桜と違う。桜に比べ花期は長く、その最後までよく見ることができるが、そのことがかえって花の魅力というものを損じているようにも思える。かわりに、香りには花の盛衰にかかわらないものがあって、目をつむってでも、長きに楽しめるのがいい。
屋外に置かれた鉢からはそこはかとなく香りが立ちのぼるし、それがまた適度な風があるとそれぞれに鼻を近づけては確かめてみる楽しみがあり、それがどの鉢のものとも分からないことも多いのが奥ゆかしくていい。一方室内はと言うと、一歩足を入れてみるだけでそれぞれの香を凝縮した濃密な空気に全身が包まれてきて、これはこれで豪華な雰囲気を醸成していた。
個人的には、あるかなきかの香を楽しむ屋外のほうが好ましいと感じたが、さりながらこの日は大宰府にもとどけとばかり風に勢いがあるので、ゆっくり香りを堪能するどころか、首をすくめるほどの寒さには閉口した。
喜光寺の弁天池に浮遊するものが、あっちにもこっちにも振り回され漂流しているのが印象的な日であった。

“あるかなきかの” への2件の返信

  1. ここ数日強風と寒さに負けて車を利用することが多かったが今日は穏やかな春の日差し。
    こうなるとがぜん歩きたくなる。
    橋の上では相変わらずカメラマンが鳥を捉えようとレンズを向けている。

    田舎で貰った梅がかれこれ一か月も持ちこたえている。
    香りこそしなくなったが日の当たらない場所はまだまだ見られる。
    今日やっと南側の花を片づけた。
    茶色の花柄がポツリポツリ目立ち始めた。

    梅と桜、う~んどちらが好みか?

    1. この時期は仏壇の花もずいぶん長持ちするもんですね。夏などは二日ほどで情けないことになりますが、この差は驚くべきかと。
      昨日はたっぷり太ったツグミ君も来てくれました。鳥はまだしばらく楽しめます。
      梅は庭など間近で春が来たことを感じられるし、桜は春本番の華やぎがいいですね。

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