杜撰

開発の中断されて山笑ふ

いっせいに山の緑が吹き出した。

落葉樹が多い山ならではだが、冬から春への変容は息をのむ美しさがある。
その美しい山容を無残にも切り取って大規模太陽光発電の計画がすすんでいたが、平群町民の反対で頓挫している。始末が悪いのはすでに樹木が完全に切り倒され山膚の爪痕もあらはに、裾からも無残な姿をさらしているのがよく見える。相当規模の大きい開発で、山塊の崩壊による災害を招きかねないと住民運動が起きていたところに、ずさんな計画がつぎつぎに明らかになりメガソーラーの許可を出した県も止めざるを得なかったようである。
開発途中の映像を見るにつけ、よくもこんな杜撰な工事がすぐ近くで行われたのには戦慄を覚えるが、これを安全な状態に復元するにも課題が多いだろう。熱海の土砂災害の件もあり、このような危険な開発計画が他にもすすんでないか、おおいに気にかかるところである。

“杜撰” への4件の返信

  1. バブルの頃、故郷の山もゴルフ場建設で山肌が赤茶けていた。
    今はそんなこともなく緑深い山々が永遠であれと祈るのみである。
    譬え限界集落にあるとしても自然だけは壊さないで欲しい。

    1. 足尾では関係者の尽力で緑を取り戻しつつありますが、ここの開発はそりゃひどいもので、勝手に山を崩し急峻な谷を埋めるという、大雨などあれば一気に斜面を土砂が流れ込む怖れがあります。地主が売った相手が外国資本で、SDGsどころか環境破壊しまくりで、こうして知らぬうちに国土が外国勢に切り崩されていくのも国力の衰え以外なにものもありません。
      人口減、衰退する一方の経済力、独自のエネルギー政策もなく食糧自給もままならない無資源国がどうしてGDP2%もの軍事費に耐えられましょうや。今の政治がつづくかぎり消費税増税に突っ走ることになります。

  2. 開発の中断されて山笑ふ

    この句、強烈ですね。
    再生可能エネルギーとして、自然環境の救世主になると思われていた、メガソーラー、それに陸上風力発電の建設が、環境破壊の元凶になっている現実がようやく認識されだしました。特に、メガソーラーはゴルフ場と同じくらいの面積が必要で、猛烈な山林伐採がなされています。関東でも、過疎地域ではありますが裏丹沢とか奥秩父、奥武蔵に山歩きに行くと、強烈な山肌露出があちこちで見られます。新たに広大な山肌に張り付けられるのが、あの黒い板状のパネル。不気味で景観が一変します。
    山が笑うが如く、緑樹が風にそよぐ自然を、残したいものです。

    1. 一般が知らないところで国土の荒廃が進んでいるのですね。山をもてあました地主に、一発大儲けを企んだ資本がつけこむ。そんな構図が見えてきます。エコ、環境保護のための自然エネルギー開発が環境を破壊する、なんと本末転倒で皮肉なことでしょうか。

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