大伯の見た馬酔木

車窓過ぐ目に捕らへたり花馬酔木

どこだったか、車のハンドルを握っていて赤い花が房のように垂れ下がる馬酔木が見えた。

馬酔木といえば大和に縁の深い植物で、昔から各地で自生しているといわれる。歌、つまり万葉歌にも十首詠まれており、なかでも大伯皇女の「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君が在りと言はなくに」は哀切極まりない。
ちなみにその十首のうち馬酔木の花を歌わなかったのはこの大伯の歌だけらしく、昔から馬酔木とその花は切り離せない関係であるようだ。大津が処刑されたのは秋10月で、その直後に大伯が都に戻っているので、「咲く」ではなく「生ふる」とは秋に花芽を付ける馬酔木をその道中で見て詠んだものかもしれない。

“大伯の見た馬酔木” への6件の返信

  1. 馬が酔う木と書いてあせび、ちょっと読めないけど面白いですね。
    土手の遊歩道にはまだ咲いていませんが白い花が植えられています

    大伯皇女の歌、亡き弟君を偲んでせつないですね。

    1. 気がついてみると奈良には意外に馬酔木が多いんです。去年だったか、仏像写真ギャラリー「飛鳥園」に行ったときの馬酔木が記憶に残っております。調べたら、やはり、昨年3月16日に「ギャラリー飛鳥園」という題で馬酔木を詠んでいます。今年も西村さんの切り絵展が近づいてきました。

  2. 大伯皇女の和歌いいですねえ。今はまだ万葉集に時間をさけませんが、一年半後からはしっかり読みたいと思っています。
     我が家では今雪柳が満開です。近くには馬酔木も白い花をぎっしりつけています。私は白い花が好きなので、毎日見るのが楽しみです。
     桜も咲き始めました。 先日、よく行く甲府近くの温泉に出かけていましたが、梅も咲き、桜も少し咲き、連翹も盛り状態でした。 贅沢なお花見ができました。

    1. 万葉集も聞きかじり程度ですが技巧にてらわず素直、ストレートな歌が多くて好きです。

      甲府といえば、甲府盆地への中央道はもうすぐ藤や桐の花が彩りをそえて楽しみなドライブになりますね。4月下旬頃の中央道が大好きです。

  3. “馬酔木”の由来を調べてみたら、名前のとおり馬が食べたら酔ったようになったところからつけられたんだね。
    草食系哺乳類はこの木を食べるのを避けるそうで、本能的に体に良くないということを学習しているんだね。
    奈良公園の鹿はこの木を避けて他の木を食べるため、結果として馬酔木が多くなったそうで、奈良県に多いのはそのためかもね。

    1. 馬酔木は元々西日本に多く自生していて、関東では少ないかもしれないね。「馬酔木 季語」あたりでググると奈良で詠んだと思われる俳句が多いことが分かります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください