橙色の花

萱草の花の岬を波洗ふ
萱草の花に埋るる流人島
絶海の流人の嘆き忘憂草
岩をかむ波のとよもし忘憂草
絶海の波涛くだけて忘憂草
萱草の花のとよもし海なだる
さう言へばかつて庭には忘草
忘憂草生ひける庭のなつかしき

忘草は萱草(かんぞう)の古名である。

忘れな草とは似て非なるもので、万葉の時代から詠み込まれていて、憂きことを忘れさせてくれる草、という意味で使われてきたらしい。

かつては拙宅の庭にいつの間にか自生していたが、またいつの間にか消えてなくなってしまっていたことを思い出す。無くなった後しばらく気がつかないというのだから、ずいぶん間抜けな話で、忘れ去られていた萱草がかわいそうというものである。

“橙色の花” への6件の返信

  1. 橙色の花、萱草と言えばひょっとして?
    調べてみたらやはりそうでした。
    山歩きや高原でよく見る花ですが忘草と言うんですか?
    特に信州ではよく見かけます。
    ユリやニッコウキスゲにも似ていますね。
    夏の花でしょうね。

    1. 萱草と言えば、やっぱり佐渡の、それも北端の大野亀を中心に群生するトビシマカンゾウが素晴らしいです。ああ、もういっぺん見てみたい。

      1. 佐渡のトビシマカンゾウ調べてみました。
        一面黄色の群生ですね。
        佐渡と山形の酒田にしか生息しないとか・・・
        双方とも時期外れに行ったので見ることができませんでした。
        なるほど「もういっぺん見てみたい」気持ちわかります。元気をもらえるような鮮やか色です。

        1. 草丈の低い草原に黄色い花を咲かせて、そのまま海になだれ込んでいく風景は他には見られないものです。いわゆる絵になる、ということでしょうか。

  2. 今が季節ですね。勿忘草と違って忘れ草の方は結構派手で忘れさせるというより思い出させる感じがしますけどね。
    万葉の時代からですか。源氏物語でも何か所か使われています。

    1. 元は中国の「忘憂草」からきているようです。花ではなく、草を身につけて苦しいことを忘れようという意味で、もっぱら恋の苦しみから逃れる意で歌われることが多いようですね。

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