夏越の大祓

水無月の晦日神事の巫女駈けて
形代を茅の舟にて流しけり
行きずりのハイカーくぐる茅の輪かな
山辺のハイカーくぐる茅の輪かな
菅貫を氏子の犬のくぐりけり
まず作法習ひて茅の輪くぐりけり
千歳伸ぶてふ歌唱へ夏祓
禰宜巫女につづく長蛇の夏祓
夏祓禰宜にしたがふ長蛇かな
夏祓禰宜待たさるる長蛇かな
切麻(きりぬさ)の散らばりしまま御祓果つ

今日はいわゆる「夏越の祓」の日である。

大祓とは6月と12月の晦日に過去半年犯した罪や穢れを除くための祓えをすることで、6月が夏越の祓(なごしのはらえ)、12月が年越の祓(としこしのはらえ)と言われる。
大神神社の茅輪くぐり神事
とくに夏越しの祓えでは各神社では「形代」に穢れや病を移し、水に流したり、茅を編んで輪にした「茅輪」を三度くぐって穢れを祓ったりする。この輪をくぐるとき次のように歌いながら行進するのだ。

水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶといふなり(拾遺集)

何でもこの大祓は大宝の律令によって定められた行事で、衛生状態のよくなかった当時疫病を退散させるための行事であったのだろう。一時途絶えていたと言うが、明治になって大祓の復活が命じられ今日まで続いているということだ。

大神神社では午後三時からあるというのでお詣りしてきた。一人一人に渡された形代に息を吹きかけて穢れを移し、水に流す神事の後神職や巫女に続いて茅輪くぐりし、最後に大祓のお札をいただいて終了だ。

なお、「夏越の祓」「形代」「茅の輪」いずれも夏の季語で、傍題も多い。
大神神社の五月闇
梅雨空で参道がおぐらくて昼灯ししていたのを写真に撮っていたら、石段を駆け上ってきた巫女さんたちと目があって、彼女らは恥ずかしそうに歩を緩めるのだった。

9月号の締め切りがなんとか間に合ったと思ったらもう明日は7月。しかも第一火曜日なのでまほろば吟行の日。いやはや。

“夏越の大祓” への6件の返信

  1. 6月晦日の「夏越の祓」初めて知りました。
    古都、奈良らしい行事ですね。

    そんな神聖な行事に携わる巫女さんが駆けていき又改まるのもおもしろい。
    きっと駆けるな、静々巫女らしくと教育されているのでしょうね。

    1. 歳時記の人事(行事など)関連の季語は圧倒的に関西のものが多いです。ただ、大祓は全国どこの神社でも行われているのではないでしょうか。
      昨日のローカルニュースでは、上賀茂神社の大祓が報じられていました。

      1. 調べてみたら愛知県の神社でもあちこちで行われていました。
        こう言ったことに疎い私ですが一つ賢くなったかな?

  2. 早くも7月ですね。半年の穢れを祓う夏祓、先日ウチの句会でも田町の小さな神社の茅の輪をくぐってきました。さあ、きれいになった。また半年頑張ろうってところです。

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