尼寺の静寂と

半夏生庵主の住まひ給へりて
半夏生尼寺の壁に映えにけり
半夏生葉先の化粧(けわい)残したる

今日は夏至から11日目、半夏生である。

同名の草花・半夏生を調べてみると奈良県では準絶滅危惧種に指定されているとのこと。
三重県境の御杖村の棚田を利用した岡田の谷の半夏生園という景観資産があるが、いかんせん遠いので近くでないか調べると、果たして奈良市内の興福院(こんぶいん)という尼寺の門前にあるという。早速訪ねてみると今がちょうど盛りで、白い穂が伸びて小さな花をつけている。この花を有名にしたのは、どちらかと言えばこの花よりも葉で、上から数枚の表面が根元からだんだん白く変色してついには前面真っ白になることから「化粧花」とも呼ばれる。
すぐ近くにはいっこうに鳴き止まない鶯、そして半夏生の群れが尼寺の白壁と相呼応しているかのようだった。

興福院の半夏生

7,8月は興福院は非公開で門は閉ざされていて鶯の他は何も聞こえない静寂の中にあるが、門前の池には立ち入ることができる。
もうずいぶんな人が見物に来たと見えて、池の周囲は草の踏みしだかれた跡がおびただしい。中には足許に注意を払わなかった人もいたらしく、踏まれたのであろう捩花があわれな姿をさらしていた。

“尼寺の静寂と” への4件の返信

  1. 我が家の庭にも今丁度花が咲いています。
    葉はまだ半分しか白くなっていません。
    まさに半化粧状態ですね。
    岡田の谷の半夏生園、壮観ですね。
    化粧を(けわい)と読むとは・・・勉強できました。

    1. どくだみ科というわりには匂いはきつくないようですが、ご自宅のはいかがですか。
      家人に聞くと、かつていただいたのが庭にあったそうですが枯らしてしまったとのこと。水のそばで育つので水やりの管理が悪かったのでしょう。

  2. 岡田の谷の半夏生園、HP見せてもらいました。すごいですね。ほんと山深い谷という感じです。尼寺のもよく撮れてます。旬を見つけたらすぐ飛んでいく、すばらしいです。

    よく降りますね。洗濯物が乾かなくて困ってます。2階の一室に除湿器を持ちこみエアコンの除湿と扇風機を2台ガンガン回しています。

    1. このお寺は藤原百川の創建だとか。ずいぶん歴史があるお寺で本尊の釈迦三尊像は奈良時代の重文とかで、公開時期には再訪したいところです。
      帰りは、垂仁天皇陵経由唐招提寺、薬師寺の裏を抜けて県立民族博物館、ここでカワセミを見ました。斑鳩へ出て帰宅。天気もよくて気持ちいい半日でした。

      お孫さんたちの産着その他洗濯物が多くて大変ですね。さいわい当地は雨と晴れが半々の日が続いています。湿度は高いですが、気温がそれほどでもないので助かります。

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