半夏生映ゆる媼の畑の隅
畑の一角が半夏生に埋められている。
腰も少し曲がった翁の背丈を越すくらいに元気そうである。
いつも通る抜け道だが、今日までまさかそんなところにあるとは夢にも思わなかったので少なからず驚きである。広さにして2メートルかける5メートルくらいだから、10平米。3坪ほどが今まさに葉の半分を白くして田植時であることを教えている。
見渡せば、棚田の一番奥まったところから水が配られるようで、棚田のもう半分ほどが田植を終わっている。いつもの年に比べて二十日も早い。やはり、今年は例年になく雨に恵まれて溜池がもうあふれているのではあるまいか。
殘りの田もほとんど代掻きが終わり、早いところでは苗さえも配られて田の隅に仮植えされているところもある。この数日で見えるかぎりの棚田の田植は済んでしまうに違いない。
ところで、雑節のひとつである半夏生は夏至の11日目から七夕の日までの五日間を言い、今年は7月2日からとなる。関西では滋養ある蛸を食って英気を養う習慣があるとか。
もっとも、その蛸も昨今の高値ではパクパクとまではなかなか大変そうである。