病窓をはすにさばしる秋の蝶
病床とはいっても病院に比べれば自宅のほうが自然にふれられる度合いが多い。
それだけ季題に巡り会うチャンスがふえるので、みたままをすぐよむ詠むようにしている。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
病窓をはすにさばしる秋の蝶
病床とはいっても病院に比べれば自宅のほうが自然にふれられる度合いが多い。
それだけ季題に巡り会うチャンスがふえるので、みたままをすぐよむ詠むようにしている。
上手よりひとり舞台の秋の蝶
居間の窓をフレームとみてもいいし、舞台とみてもよい。
ふらふらと舞台の袖から現れたかと思うと、あちこちの枝葉の周囲を巡っては反対側の袖に消えてゆく。何を探しているのかは分からないが、短い一日を惜しむように命を刻んでいる。
目で追っかけていると、それはまるでひとり芝居の役者のようにも思えてくる。
橘の実の乏しきに秋の蝶
今年は柚子がさっぱりである。
ただ一個、ぽつんとぶらさがっていおるだけである。
そこへ白い蝶がやってきてひとしきり取りつくように舞い飛ぶ。
しかし、何も得るものがないと悟ったか、弱々しくどこかへ去って行った。
どことなく物悲しい光景を見てしまったなあと空虚な気分に侵されるのだった。
秋蝶の水場に朝をむさぼれる
skyblueさんへのコメントで書いたように、この朝散水栓のわきで揚羽が1頭羽根を閉じている。
もうとっくに活動を初めてもいい時刻だと思うが、しばらく眺めていてもいっこうに発つ気配はない。
と言って、弱り切っているわけでもなさそうである。というのも、水道の水がはねたりしたら、微妙に位置をずらすのだから。
もしかして、今朝大きな蜂がまとわりつくように飛んでいたので、危険を避けていたのかもしれない。
羽に傷んだ様子もなく大変美しいし、まだまだ飛び回ることはできるのではないかと、そのままそっとしておいた。
昼過ぎに、もう一度確認してみたら、やはりもう揚羽蝶の姿はどこにもなかった。
きっと、休憩をとってまた暑い空へ飛び立ったのだろう。
被覆せる畝に生まれし秋の蝶
虫除けネットの中で蝶がもがいている。
どうやら、大根のプランターのなかで蝶が羽化したらしい。
先週に続きこれで二度目だ。
虫除けと霜除けをかねてネットをかぶせているが、いつの間にか青虫が発生、さなぎ化して孵ったらしい。
いくらか葉っぱが食われているのは、きっとその青虫だったのだろう。
ネットを外してやったら、元気よく飛び立っていった。
葉っぱの被害はたいしたものではないが、まだしばらくはこういうことはあるかもしれない。
それにしても、いったいどうやって侵入したんだろうか。もっとも考えられるのは、ネット越しに卵を産みつけ、それが羽化したということである。そこに柔らかくてうまそうな葉っぱがあるもんだから、格好のゆりかごである。