夢中

夕映えのげんげ畑の立ち話

一面が紫の田が目を引いた。

いつもなら素通りするところ、遠回りして近づいてみる。
近所の主婦と見える三人組は見飽きたであろう蓮華草には見向きもせず、暗くなろうとしている時間をなお井戸端会議中の様子。
バイクを停めて見入っている人間もまったく目に入らないらしい。

会話を楽しむ

げんげ野の見向きもされぬ下校道

田一枚見事な紫雲英である。

菜園への行き帰りに目を楽しませてくれる懐かしい風景だが、子供たちは立ち止まって見る風でもなく、今ではかれらの遊び友だちではないようである。引率付きの集団下校ということもあり分刻みで動くのに馴れたか、寄り道というものを知らないで育つと身近な生きものへの感心も失せてしまうにちがいない。
こちとらは、雨の間を縫って菜園の仕事に余念がないが、畑に置いたコンテナにいつもいる雨蛙君と会話を楽しんでいる。