手口

熟れたれば烏うかがふトマトかな

各区画で被害が出始めた。

初日は胡瓜、二日目はトマト、そして吾がトウモロコシ。
手口からすると、どうやら子供の烏のように見える。成鳥は熟れたものだけ鮮やかに盗み食いするが、此度はそれほど甘くもない未熟なものに手当たり次第手を付けているようである。

烏の侵入口は天敵がいないことが第一条件で、通路に近い部分が真っ先に狙われる。そこで、昨日中に応急措置を施したので、今日雨の間を縫って検分にいくとどうやら今のところ被害は広がってないように思える。
この前線が離れたらもう少しまともな対策を考えねばならない。

リコピン

脇芽摘むあをきにほひのトマト畑

実が青い。

なかなか赤くならないものだ。
そうこうしているうちに、脇芽だけがどんどん成長してくる。
おそらく窒素系肥料が多いせいかと思う。
指にトマトの青臭い匂いをつけて戻ってくるのが日課とも言えようか。
テレビの番組で、トマト、とくにミニトマトの方がリコピンなる成分が多く、肥満防止、血管のコレステロール沈着を防ぐ役割があると聞いて、翌朝からサラダのミニトマトの数が一二個増えたような気がする。

懐古趣味

店先の糖度を競ふトマトかな

最近のトマトというのは品種改良が著しい。

野菜、とりわけサラダや生食用に使われるものは特に甘いものが好まれる傾向にあるようで、トウモロコシ、トマトがその代表であろう。
とても名前が覚えきれないほどのトマトが糖度を競って陳列されている。

でも、暑い日中生で囓るのはやっぱり昔ながらの酸っぱいタイプの方が好きである。

本来の味を忘れてないか

形よりトマト臭さの好ましき

当地のトマトはうまい。

関東で売られているトマトというのは、どういうわけか色が浅いしトマト特有の匂いがまったくしないものばかりだ。
それに、囓っても固いし、水っぽい。だいいち種の部分が未発達で全然ジューシーでないのは僕にとってはトマトではないと断言したい。

それにひきかえ、当地のは噛むとすぐにトマト臭さが広がって、肉も軟らかく種のあたりの実に甘いこと。
関東にいるときはトマト入りのサラダを敬遠していたが、当地ではまずはトマトからである。