旨いとてよこせしトマト甘かりし
感覚、とくに味覚においては個人差がある。
とくに野菜については世代間における差が一律的にあるような気がする。
たとえばトマトを考えてみてほしい。
冷たい水に浸したトマトをおやつ代わりに食した我が世代には、今の甘ったるいトマトは苦手ではなかろうか。独特のトマト臭さがあってこそトマトの味だと思うのだが、どうやら若い人たちにはフルーツのような甘さ主体のトマトがいいようである。おかずにするにはどうも甘すぎるのだ。
トマト独特の匂いというものを、生まれてこのかた食べたことのない世代が大半を占めるようになると致し方ないのかもしれないが、昔の味わいを再び得ようとすればもう自分で作るしかないのだろう。
旨いからと若い人からお裾分けいただいたのだが、今風に甘かったのは残念なことである。