デジタルの文字

冷まじや液晶の文字みな8に

机上の時計がおかしくなった。

一度落下させてしまってから時間表示の部分の液晶が欠けたが、個人的に使用する分には困らないのでそのまま使っていた。
ところが、今日どこかでカチカチと異音がするので周りを見渡してみると、その時計から聞こえてくるようなのだ。
しかもいままでだましだまし使ってきた文字盤はと言うと、一部の欠損を除いてみな算用数字の「8」を指しているではないか。透かしてみても叩いてみても何の変化もない。リセットボタンというのがあるのでこれを押して見るも何の変化もない。
どうやら完全にいかれてしまったらしい。
日時や曜日もでるし、気温、湿度もでるのでなにかと重宝していたので、動かないとなると机の上が何となくわびしいものだ。
毎日が日曜日的な暮らしのなかではデジタルのように一分一秒を刻む正確な時計は不要だが、かと言って今日は何日だとか、何曜日だとか振り返りたいときもあるのでその術を失ってぽっかり穴があいたような気分である。

苦い

内容証明附すに及んですさまじき

10月から11月の気温だという。

猛暑よりはいいが、それにしても極端な天気だ。
寝間着も一気に長袖へ、布団も夏掛けから合いのものに変わった。
このようなさむさを「やや寒」と言うらしいが、何かあるかなと考えていたら「うすら寒」どころか「冷まじ」に近いものが浮かんできた。
いちいち話すことではないが、人生にはいろいろある。
うまくいってた関係も、ある日あることを境にぎくしゃくしてしまうことも。そんな苦いことも含めての人生である。

必須のアプリ

すさまじき雨に避難の是非もなく

何度も有線で避難情報が流される。

ところが、激しい風雨で窓をすべて塞いでいるので、何を言っているのか全く聞こえない。
むしろ放送よりも頼もしいのは防災アプリの警告であった。あの地震の警報と同じく、ピロンピロンと鳴って教えてくれるので、スマホのNHKのニュース防災アプリのインストールは必須であろう。
近くの鉄道には土砂が流れ込んで大きな被害を受け、いまだに復旧の目途はたっていない。
ごく身近なところで通勤通学に支障が出るほどの被害があったというのも初めての経験で、今後こういった災害がいつでも身近に起こりうることをあらためて認識することになった。

斜陽

エレベータ閉せるモールの冷まじき
凋落のモール冷まじフロアの灯

百円均一の店でちょっとした買いものをした。

大手が撤退して、その後に入ったテナントも次から次へと店仕舞し、三階建て大型モールの一フロアごと占有した百均店だけが残っている。地下に、屋上に広大な駐車場のあるビルだが、地下は暗いので屋上を選んだところ、四つある出入り口のうち三つが「閉鎖」と大きな貼り紙がある。そこはエレベータないしエスカレーターのある出入り口で、残るのは階段を昇降するしかないのである。
「なんだこのう」と遠回りさせられるのも腹立たしいが、入ってみるともっと驚いた。モール内部はその店があるフロアだけが照明され、その侘びしさといったらない。おそらくエアコン、空調の類いもそのフロアだけにしか稼働してないのだろう。夕方や夜に行こうものならさらにその感は強いものになるに違いない。

この調子では、この店だっていつ撤退となってもおかしくないなとさえ思え、暗澹とした気分に襲われるのだった。