戸外へ

一声の僥倖得るも初雲雀

たまたま外に出たときだった。

たしかにどこかで雲雀が鳴いた。
住宅街の真ん中なのでいったいどこで何してるんだろうかと不思議に思ったけど、あえてありかを探ろうと振り向くことはしなかった。
明日もまた外さえ出れば聞こえるはずだ。
花粉がピークを迎えているので葉書を出しに行くにも車を使ってしまうが、やはり戸外に出ればいいことはある。

恋の季節

とも見えてまう一羽来る初雲雀

久しぶりに雲雀の声を聞いた。

どこにいるのか目を凝らしてもなかなか焦点が合わずきょろきょろするばかり。
100メートルくらいの高さにようやく見つけたときは、さらに一羽が加わって動きが急になる。
どうやら縄張り争いをしているらしく、もつれあうようにどこかへ消えてしまった。
鳥たちの恋の季節である。鶯もどこかで鳴いているにちがいない。

降りる場所

雲厚き空のどこかの初雲雀

思わず空を見上げた。

雲雀の声が聞こえたからだ。だが、雨もようの空なので雲が厚くて声の主を探し当てることができない。
初雲雀とはいえ、揚げ雲雀の堂々とした声だった。
今までよく降りていた空き地には真新しい建て売りに人が住んで、今年はいったいどこへ降りるのだろうか。

聞きつける

道中の一人に見えて初雲雀
空耳と疑ぐるほどの初雲雀

歩くたびに発見がある。

先日粒が開き始めた万作を見たが、これがすっかり開いてちりぢりの糸にほどけている。
また、珍しく日の暈がかかったお日様を眺めていたら、どこかで雲雀が鳴いている。もちろん今年初めての雲雀だ。
眼球の焦点合わせが鈍い僕には発見できなかったが、立ち話の相手がしっかり捕捉したようだ。
ただ、鳴いた時間はほんのわずかですぐに聞こえなかった。
最初の一声をせっかく聞きつけたのに残念なことである。

機首下げて

一番機定刻通り初雲雀
気象台出し抜きこれが初雲雀
目を皿のやうに手かざし初雲雀

気象台発表より早いかもしれない。

今朝、玄関を出たら頭上で雲雀が啼いている。雲雀一号である。
例によって、目を皿のようにして探しても見つけることはできなかった。
時刻としては、羽田発大阪行きの始発便が着陸態勢をとって盆地の東から西へ過ぎる頃。7時ちょっと前くらいだ。機体にANAという識別ロゴが目視でも充分確認できるほど低空を飛んでいる。

烏帽子が自慢

初雲雀今日の天気を確信す
老の眼の焦点甘し初雲雀

初鳴情報もある。

鳥たちはとっくに春を察して、恋の季節の始まりだ。
初雲雀とは言え、真っ青な空のあまりに高いところにいるものだから、衰えた眼には捉えることができない。
朝のうちの靄がかっている空ではますます発見が難しいが、よく鳴く朝はきっと晴れてくるに違いない。

よく目撃する空き地は今年も更地のまま。
いずれ、ふらーっと落ちるようにして降下したり、粋な烏帽子姿の徘徊が見られる日も近い。

頭上の春

初雲雀打ち振るはする様見えて

4,5日前の寒い日に雲雀を見た。

この時期はあまり高くまでは上がらないのかどうか、肉眼ではっきり羽根を振るいながら風に向かっているのが見えた。一ト月くらい先ではないかと思うくらい暖かった今日もよく鳴いていたが、やはり肉眼で捉えることができた。
縄張り宣言の初期段階かと思うが、これからは家を出れば毎日頭上でさえずるのを耳にできるのではないかと思うと、やはり春はもう来ていると思うのだった。