おっとっと

南天の赤粒ひとつ玄関先

今年の南天は長くもっている。

11月にはすでに真っ赤な実になっていたからかれこれ三ヶ月もの間落ちないで頑張っている。葉も寒さから赤を通り越して紫に近い。
それに沿うように千両の黄も鮮やかで、双方ともなかなか見どころが長く続く。
今朝玄関ドアを開けたら、真っ赤なで大きな実がひとつぶ転がっているのを危うく踏んでしまうところだった。

師走の雨

南天の実に大粒の雨しきり
南天の実の雨垂れを諾へる

予報が外れて結局雨の一日だった。

月に一度の診察をのぞきいくつかの予定が狂ってやることもなく庭をながめていると、すっかり色づいた南天の実が、これまた紅葉した葉とともに雨の重さにしなだれている。一粒一粒に、一枚一枚に雨がのれば枝全体がたわんでしまうのは道理である。
うっかりそばを通るとしとどに雫を浴びてしまいかねないので、見るだけにとどめては恨みの師走の雨を仰ぐしかない一日であった。

一足早く

実南天ひとつ落ちたる通ひ路

ドアを開けると赤い実がひとつタイルのうえに転がっている。

玄関脇の南天が早くから赤い実をつけていたので一つや二つ落ちていても不思議ではないが、落ちていた実には妙に生々しいつやがあり、いかにも今朝がた落ちたばかりという風である。
この実とあわせ、ここらは朝晩冷え込むせいか葉っぱまできれいな色に紅葉して玄関の脇をぐっと引き締めてくれている。
正月には欠かせない南天だが、玄関周りは一足早く正月の趣である。

御所見学

楝の実あふぎ始まる御所ツアー
蔀戸をあげて御所貼てふ障子
水曲げて落葉ただよふ御庭かな
実南天ここが小御所の鬼門らし

源氏物語完読旅行2日目は京都御所から始まった。

職員の案内で約1時間の見学だが、印象としては御所暮らしというのは意外に質素なものだったようだ。天皇のお住まいだといって金ぴかに飾り立てるどころか、逆にかつてお住まいだった清涼殿などは調度も質素に地味に設えられ、冬を越すにはいかにも厳しそうだ。東京遷都まで実際に住まいとして使われた建物などは、外は寝殿造り風でも内部は書院造り風で畳も敷かれてはいるものの、民の上流階級並の家と変わらないほどだ。
象徴的なのは障子で「御所貼り」という独特の貼り方だ。これは大きな紙は貴重だったので、小さな障子紙を何枚も貼りつなげる方法でその継ぎ目模様が大変ゆかしく美しい。