日暮れまで

道の泥掃いて収穫とりいれ仕舞ひけり

棚田は第二弾の採り入れ日だったようである。

棚田の各田を廻るごとにコンバインの音が響き、今日だけでいったい何枚の田を刈ったろうか。一台のコンバインが棚田を順繰りに採り入れていくということは、レンタルあるいは委託の稲刈りであろう。
午後五時を過ぎるとさすがにうす暗くなってようやく終了したようで、最後は各田を巡るたびに一般道を走るコンバインが落としていった泥を丁寧に掃いて今日一日が暮れていった。

古さの残る

コンバイン公道行ける豊の秋
収穫や県道塞ぐコンバイン
レンタルの農機出払ひ豊の秋

「収穫」と書いて「とりいれ」と読む。

「稲刈」の傍題である。
(俳句では名詞には送りかなをつけないのが原則である。動詞「稲刈る」の連用形「稲刈り」と区別するためである。)

今、大和盆地は稲刈りの真っ最中。この週末はおそらくピークを迎えると思えるが、今週は天気がちょっと心配なところ。
田の広さに比べるとえらく立派なコンバインが、あちらこちらの田で見かける。飛鳥や三輪方面に行くとき必ず通る県道には某農機メーカーの営業所があるのだが、いつもなら機械がいっぱい並んでるヤードが今日はほとんど空っぽ、農機は出払っているようである。
県道の何カ所かにはコンバインが県道を通ったり横切った跡とみえて、泥が点々とこぼれていたし、稲刈りを終えたコンバインや軽トラが渋滞を引き起こしたり、それでも誰も文句を言わない。

春や秋には公道をナンバーのない耕運機が何事もないような顔をして、のんびりと堂々と行き帰りする。大和にはまだまだ古い部分が残っている。