庭の守人

子蟷螂ほほに降る風のいたずら

生後2〜3週間くらいだろうか。

頬に草の葉でも触れたような気がして、肩に手をやるとそれは蟷螂の子だった。体長2センチほど。生まれたては1センチあるかないかぐらいなので冒頭の推量も大きくは外れていまい。
手にとるとじっとこちらをにらみ返してくる。
着地を失敗したくせに、人を恫喝するとはたいした度胸である。
今年も庭の守人として悪い虫をやっつけてくれるだろう。

巣立ち

溺れるあり踏まれるもあり子蟷螂

かまきりの赤ちゃんを見るようになった。

一センチあるかないか、色も目立たない薄茶色だが一人前に斧の構えを見せる。
顔を近づければ右に左に体を揺らせて抵抗の構え。昨年簾に何個か卵を産みつけてあったので、そこから次々に孵化しているのであろう。外水栓の内槽にいたので流されては可哀想だと指にのせて連れ出してやった。
巣立ち後世間の荒波にどれだけ生き残れるか、苛酷な運命が待っているだろうが初秋の頃には大きくなってまた会いたいものだ。

逃げ道

孵るだに土遁の術の子蟷螂

今朝の水栓には生まれたばかりのカマキリが張り付いていた。

体長1センチにも満たぬのに、これまたミリに満たない細い体の動きは敏捷である。
人の気配を察するや、栓の裏側に身を隠し隙あらば逃げようとする構え。
全身の神経をこちらに向けているさまはもうカマキリの本領そのものである。
じりじりと距離をあけながら逃げ道を探るのであった。
これが、あとひと月もすればいろいろ湧いてくる虫を餌にしていい若者に成長していることだろう。

ハンターの顔

瓜棚の風に吹かれて子蟷螂

薬を使いたくない菜園の頼もしい味方。

縦横無尽に害虫が走り回る野菜にはとても追いつけないとは思うがそ、れでも瓜棚などに顔を見たら「頼むよ」と声をかけてしまう。今年はあまり天道虫も見ないので、すくない援軍として大歓迎である。
大きさは3センチくらい。大人にはまだまだおよばないが、すでにハンターの顔をしている。瓜葉虫をどんどん食ってくれると助かるんだが。

背伸び

身を揺すり背伸びしてみせ子蟷螂

カマキリの子供も3センチくらいに育ってきた。

ふと気がつくと、足もとで左右にスウェイするようにしてこちらを警戒している。
そうやって、できるだけ大きく見せようとしているらしい。
しばらく睨めっこしていたが、注意をそらしてやるとこれ幸いと茂みへ逃げていった。
カマキリの子供としては、身を守るためにできる限りに精一杯を尽くしたんだろう。