寒禽の小舎脱け出して雪せせる
鶏というのは残酷な生きものである。
群で飼うと必ずいじめに遭う奴がいる。いじめというのは集団リンチみたいなもので、誰彼となく嘴でつついて羽根を傷つける。最悪はその毛をむしり取るので、季節外れの羽抜け鳥となることもある。
そんないじめられっ子が鶏舎から出て徘徊したりするが、それでも遠くに行くようなことはない。しばらくしたらまた小屋に戻るのである。
いじめが、ひどいときには死に至らしめることもあり、つくづくとくしがたい生きものである。そう言えば目にズームアップすれば、恐竜のそれと同じでじつに冷たいものを見るのである。