錆びる

虫喰をのがれ山梔子咲きにけり

玄関先の山梔子が白い。

毎年花の季節の前にかぎって食害があって落胆させられていたが、今年は鬼さんの来ないうちにと咲き始めたようである。
たった一輪。
それでもその白さにははっとさせられるものがあり、思わず見入ってしまう。ただ残念なことに、その白さを維持できるのはほんの数日だけでだんだんと赤茶けた色に萎びてしまう。それがいつまでも落ちないものだから、最後にはただの茶色の固まりの、まるで鉄の錆であるかのような姿になり果てるのが哀れである。それを俳句ではよく「錆びる」と表現する。最盛期には純白のものがあるいっぽうで錆びたものもたくさんその姿をとどめているのもこの花独特の特徴である。

薄緑っぽい透明

山梔子の白をむしばむ虫のまた

今年は順調に育っていると安心していたが。

いつになく枝葉がしっかりついいて、蕾もびっしりである。
ところが朝無残な姿に変わり果てている。
若葉はもちろん、蕾までもが青虫に食われたようだ。探してみると大小5匹ほどがすぐに見つかったが、今朝また二匹発見。
取り除こうとしても枝から簡単には剥がせない。そうとうしぶといやつだ。なんという名の虫かしらないが毎年やられているのはこいつなんだろうと思う。今調べるとオオスカシバという虫らしい。葉の裏に薄緑っぽい透明の卵を産みつけるらしいが、発見は困難である。
ちょっとその場から退散いただいて、鳥さんの目に止まれば持って行ってくれるだろう。

品の良さ

雨意はらみ花くちなしの香を増しぬ

湿度が急に上がってくると臭いがさらに増すような気がする。

雨を前にすると、気温は高いままに湿度が上昇するとそのような現象が起きるのだろうか。
山梔子の香りは自然の香りのなかでも上品な部類に属して好きな花である。
難点は病害虫に弱いこと。とくに虫には葉っぱと言わず蕾までも食われることが多い。
そのため、いい環境においてこまめに面倒見る必要があるようである。
今日は、町外へでたときに街路樹の下植えにみごとに咲いているのを見かけた。
わが家のは春に虫に食われて、ようやく葉っぱを回復したばかりで今年は諦めなければならないようだ。