申告済んだ

引鴨や釣桟橋の朽ちしまま

税務署の帰りに平城京大極殿北の水上池に寄ってみた。

ここは、奈良の探鳥ファンには欠かせない池で、鴛鴦はじめ何種類もの水鳥がやってくる池。
だが、三月も半ばとなると、さすがに鳥は少なくなっていて、種類も小鴨などごくわずかであったが、それでも池の真ん中で群れを作っている様子など引くタイミングを伺ってもいるようだった。
北風が強くて、ウオッチャーもほとんどその姿を見られず、情報も得られないので早々に退散することにしたが、次来たらもう渡りの鳥たちは見られなくなるだろう。

また渡っておいで

鴨引きしことを時候の便りかな

いつもの年に比べて早いかもしれない。

もともと飛来した鴨が少なかったのだが、それがまた去ってみるとさらに寂しいものがある。
遠く橋の上から見ていて、姿がよく見えなくても独特な笛が聞こえたりして、寒い時期の戦友のような親しみさえ感じていたのだから。
ここからシベリアへ向かうというのだから、途中の危険も考えれば命がけの旅であるのは間違いない。滞在中に伴侶となった道連れ、家族は頼もしい仲間だろう。無事帰還を祈る。

行くもの残るもの

引鴨の水脈を重ねる番かな
水脈とけて番の鴨の引く構え

平城京跡は野鳥観察の聖地である。

一歩足を入れた途端雲雀の声が聞こえるが、敷地が広すぎて一体どこで鳴いているのかさっぱり検討はつかない。さらに中へ入ってゆくと、大砲のような望遠鏡を抱えた人たちが大きな木を指してシャッターチャンスをうかがっている。どうやら葉隠れにアリスイがいるらしいが老眼ではよく見ない。
一行と離れて大極殿へ。拝観料など取らないのがいい。白虎の方向に生駒、青竜の方向には三笠山がよく見えるが朱雀の方向にある吉野の山は霞でよく見えない。

玄武の方角、佐紀の辺りは古墳が散在しているが、同時に大小の池が多い。そろそろ鴨の帰る頃だから確認に行ってみると、はたして帰る準備と思われる番の鴨たちが水脈を引いているのが散見された。あと一ヶ月もすると大方の水鳥たちは姿を消す。野鳥観察会も帰る鳥の観察に忙しいシーズンである。