気まぐれ

春時雨匂はせ上手聞き上手

実際にはもう夕立というべきか。

肌感覚はもう夏なのである。
ただ暦の上では春時雨としか言いようがないのであるが。
夕立は激しい、叩きつけるような雨を想像するが、春時雨は空も明るい優しい雨で、少々濡れることなど気にならないような降りっぷりであろう。立ち話をしていてもあわてることのないような、そんな雨である。
夕方家の近くまで来てぱらぱらときたのであるが、急がず慌てず今日の後片付けを終了してから家の中に入る余裕がある。いかにも春の雨だなあと思っていたら、そのうち本降りとなってきた。春の雨とは気まぐれでもあるようである。

ダンシャク

生駒嶺へむかふ平群路春時雨

家を出てまもなく雨が落ちてきた。

顔を上げれば生駒山の雲が怪しい。
すぐ家に電話して雨がくるぞと電話したが、もう洗濯物は取り込んであったと見えてたいして慌てる風がない。
ホームセンターに着いてもしばらく止みそうもないので車内で雨宿り。今日の買い物は屋外のものなのでしばらく待ったが止みそうもないので店内をぶらつくことにした。
春じゃがの種芋に目がいってダンシャクを一袋買ってみた。芽出しして植える楽しみがまた一つ増えた。これは南瓜を予定している畝に植えてみようか。

復興五輪どこ行った

閖上のこの日虹かけ春時雨

忘れられないこの日、その時刻現地に虹がかかったという。

あれから九年。
東日本沿岸部の映像を見るたび、復興の道は遠すぎると痛感する。

丸ノ内線四谷駅

地下鉄の出口混み合ひ春時雨
地上部に出たるサブウェイ春時雨
春時雨まよふことなくおんな坂
おんな坂ひしめきあうて春時雨
春時雨傘かしげして男坂
はるしぐれ男はたまた女坂

もうずいぶん長く地下鉄に乗ってない。

地下鉄にまつわる思い出は多いが、初めて都会に出てきて新鮮な驚きだったのが、たしかあれは丸ノ内線の四谷見附駅だったのではないかと思うのだが、地下から地上に顔を出し再び地下にもぐる光景だ。地下鉄とは地下の暗いところばかりをずっと走るものだ思っていたから、不意に明るいところへ出てきて駅が現れたものだからすごくびっくりさせられた。大都会というなれない土地で、地下鉄というまたなれない乗り物への不安あるいは当時から閉所恐怖症的なところがあったせいなのかもしれない。
兎に角その時は春コートを着ていて、窓ガラスに雨粒があたって曇っていたような記憶が残っているのだが。

追)男坂・女坂は湯島天神の石段をイメージしたもの。