多事多端

春浅し接種をへての憂きこころ

春とは名のみ。

いっこうに春の気配をみせない毎日である。
暖かい日がくればやりたいことは山ほどあるのに、いっかな始められそうもない。
コロナもその勢いが鈍りつつあると言うが、感染者は増加中。PCR検査薬不足で一般診療の足を引っ張っていると聞く。こうしている間も重症者はどんどんふえていくようすに、ワクチン接種したとてどれほどの効果があるのもしれず不安が募るばかりである。

石光寺の花々

三椏の芽の銀にもたげ上ぐ

今日は寒牡丹で知られる石光寺へ吟行。

もう寒牡丹も終わっているのではないかと案じてたら、案に相違して名残の様子を楽しむことができた。寒牡丹は盛りを詠まれることは多いが、今日のような状態をいかにうまく詠めるかも問われた日だった。

咲ききって終の一輪寒牡丹
染寺の奥へ奥へと寒牡丹

が精一杯。「染寺」は「石光寺」の別名で、あたりは昔染料が採取できる土地柄だったこと、當麻寺の曼荼羅を織った中将姫がこの寺の池で糸を洗い、桜の木に掛けたら五色に染まった伝えから名づけられている。

庭園は花の札所の名に恥じず、蝋梅に梅や万作など、いろんな花が咲き、香りを放ち、また一方で芽ぐみ始めた草木で満たされていた。

望外の香に遭ふ庭の春浅し

生駒の雪舞い

温度計の零下示す日春浅し

まだまだ零下の日が続く。

所用で生駒市を通って奈良市へ行ったが、途中生駒山全体を覆うような時雨があり雪がひとしきり舞うのだった。
このあたりは過去4,5度ほどクルマで通りかかったが、そのうち3、4度は雪が舞ったような気がする。
まだ経験値は少ないが、生駒市から奈良市北部丘陵地にかけて雪がちらつくことが多いようだ。
考えるに生駒山あたりは雪雲の通り道で、その北端の裾あたりから鞴のような形で奈良市北部に冷たい空気が流れ込んでいるのではないかと思われる。

この生駒一帯に雪が舞っているとき、住まいのある生駒郡南部の上空をみてもまったく雪雲はなかった。むしろ明るいくらい青く見えていた。