中腰で

屈みゐて画帳句帖よ寒牡丹
苞ひとつひしめきあうて寒牡丹

霜除け、風除けの藁の傘を被っている。

苞のなかをのぞくと、この寒空をものともせずに大きな花を咲かせている。なかには、何輪も開いていてひしめき合うように競っているのもあってなかなか豪華である。
吟行子は句帖片手に腰をかがめて熱心に見入っているが、なかなか着想を得ないらしい。牡丹園では三脚禁止のところも多いので、中腰のままレンズを構えるのも大変そうである。

石光寺の花々

三椏の芽の銀にもたげ上ぐ

今日は寒牡丹で知られる石光寺へ吟行。

もう寒牡丹も終わっているのではないかと案じてたら、案に相違して名残の様子を楽しむことができた。寒牡丹は盛りを詠まれることは多いが、今日のような状態をいかにうまく詠めるかも問われた日だった。

咲ききって終の一輪寒牡丹
染寺の奥へ奥へと寒牡丹

が精一杯。「染寺」は「石光寺」の別名で、あたりは昔染料が採取できる土地柄だったこと、當麻寺の曼荼羅を織った中将姫がこの寺の池で糸を洗い、桜の木に掛けたら五色に染まった伝えから名づけられている。

庭園は花の札所の名に恥じず、蝋梅に梅や万作など、いろんな花が咲き、香りを放ち、また一方で芽ぐみ始めた草木で満たされていた。

望外の香に遭ふ庭の春浅し

石光寺の寒牡丹

藁苞を編むも住職寒牡丹

石光寺の寒牡丹が旬を迎えている。

中将姫の曼荼羅で知られる當麻寺近くにあり、最古の石仏、中将姫が蓮の糸を染めたという井戸でも知られるが、やはり花の札所としての顔、なかでも寒牡丹が有名であろう。

寒牡丹と言っても、寒の前の今がピークでさして広くない庭に36種300株が咲いている。
この時期なので霜や北風から守るために藁苞をすっぽり被っている姿には可憐な風情がある。

春の牡丹や芍薬など庭園ところ狭しと花が植えられているが、これらの手入れは住職手ずからのものだそうである。當麻寺に行くならこの石光寺もぜひ足を延ばしてみたい。

お地蔵様のような

蓑負へる童子立つごと寒牡丹

當麻の石光寺では寒牡丹が始まったようである。

境内の花壇は手に触れるように近くから花が間近に見られる。
霜や雪から守るために藁の霜囲いをしてもらった牡丹はまるで蓑を背負った童子のように愛らしい。また、じっと見ていると霜囲いに守られた小さなお地蔵様のようにも思えてくる。2月頃まで楽しめるのだが咲き始めの今の方がより清楚にみえていいかもしれない。