急かされる

幅せまく春雨傘の歩みけり

今日は二十四節季の雨水だそうである。

降っていた雪も雨に変わる頃、あるいは積もった雪を解かす雨ということだ。
たしかに雨はひと頃より冷たくはなくなったかもしれない。
しばらく気温が高い日が続くらしいが、それもどうやら一足早い春の長雨のような日となりそうである。
いつもより早く暖かくなるのはいいが、ちょっとずつ季節感が狂ってしまうといくつもやり残しがあるような気がしないでもない。
庭の梅はおそらくこの雨で散り始めることになろう。櫻もまたいちだんと早く開花するのだと思うと何か急かされているような気分になる。

見慣れた光景

園バスを春雨傘の降りてくる

隣の空き地前が幼稚園バスの停車ポイントとなっている。

朝は8時前、午後は3時頃、見送りやお迎えのお母さんが立ち話している。
ここを利用している園児は4、5人はいるみたいだ。
子供たちが着くとみんなお母さんの傘に包まれて帰って行く。

国生みの神

春雨や裏参道の昼灯

しっとり濡れた参道に沿って灯籠が灯されている。

裏参道を崇神天皇陵に向けた天神山古墳に作られた古い神社である。
古墳の後円墳部分の半分ほどが国道建設のため削られており、ちょっと見には古墳に見えない。

着火

春雨や燐寸擦ること二度三度

燐寸箱などというものは、今どきほとんど家庭に置いてないだろう。

目にすることがあるのは、寺や墓地などに備えてある大きな燐寸箱である。
蝋燭や線香などを灯すために用意してくれてあるのだが、野外などにあるものはときに湿っていてなかなか発火しないことがある。軸の燐がふにゃふにゃで使い物にならなくて、何本も軸を変えてようやく点くこともある。少なくとも一回や二回ですぐ着火したという記憶は薄いものがある。箱のやすり面がやられている場合は最悪である。
最近では、着火用ライターに替わられているケースが多く、これはこれで便利なものだが、難点は風に弱いことである。燐寸ならば、発火した瞬間の炎の勢いを借りて蝋燭などに移すこともたやすく心強い。
彼岸にはまだ日があるが、お参りするときは念のための予備としてライターは必携であろうか。

名水百選

名水のタンク両手に春の雨

雨で散歩できないので水を汲みに出かけた。

名水百選に選ばれたという天川村洞川のごろごろ水だ。
空気が澄んだ日に大峯の方向にくっきりと見える山があって、一つは山上ヶ岳、もう一つが弥山あるいは八経ヶ岳じゃないかと思うのだが、それら大峯とも呼ばれる山への登山口とあって遠いこと遠いこと。途中、奈良の三大梅林の一つ「広橋梅園」もあって吉野の桜に負けないくらい壮大な景色も楽しみながら、深吉野の奥へ奥へと入ってゆく。

午後から出かけたので言ってみれば今日は予備調査。立ち寄り湯には入り損ねたが、洞川はじめ温泉も多いところなので、次回は朝から出かけて一日ゆっくり過ごしたいところだ。