甘い香り

漬ける気のなき梅の実の落ちゐたる

気がつけば根元にいくつも梅の実が落ちている。

今年はいつもより剪定がうまくいったのか、花もたくさん咲いて、実もいっぱいつけていた。
当初は、もし梅干しとか梅ジュースに使うほどの量が期待できるなら頑張ってみようかなと思っていたが、葉が茂るとともに梅の実が隠れてしまい、すっかりそのことを忘れていたのだった。

五、六個ほどをもいで台所に置いておいたら、二日、三日とたつうちに甘い香りがどんどん増してきて、あらためて梅とは酸っぱいのではなく甘いということを知った。
次はもう少し剪定をうまくすれば、一瓶に足りる程度は採れるかも知れない。

朽ちる

梅の実の知らず成りたる三つ四つ

梅の実の採られざるまま落ちにけり

ひとの手の触れざるままに梅実朽つ

先日気がついたのだが、庭の花梅の根元に実が三つほど落ちていた。

2個ほどは成ってるなとは思っていたが、実際に落ちていたのが三つだったし、今朝はさらに一個落ちていた。つごう四個も成っていたなんて全く気がつかなかったのである。
もともと実がなることを期待したわけではなくても、いざ成ってみると愛しいものでときどきは眺めてはいたが、それでも収穫するほどの量でもないし放置していたのだが。じっさいに旱が半月以上つずき、しかも連日熱暑だったせいか、自然に落ちたものと思うが、すでに最初に落ちた3個はだんだんと青梅の色を失いつつある。