水船は江戸期と伝へ水澄める
八幡さんの祭は今日が本宮祭なので、句材を拾いに出かけてみた。
17世紀の創建という神社には何度か散歩の途中に寄っているが、手水舎の水船の銘は間違いなく貞享と刻んである。同4年(1687)には生類憐みの令が出された。その5年前には八百屋お七の起こした江戸大火、翌年は元禄元年という頃である。
普段は水も流されてないはずだが、祈願祭の今だけは竹の樋からとろとろと澄んだ水が流れ込み、あふれた水は地面にそのまま吸い取られるように染み込んでいく。
この水船は当町で一番古いものだと教育委員会の折り紙付きだから、あの龍田大社のものより古いことになる。自然石をそのまま穿っただけの素朴な細工だが、氏子たちが綿々と大切に守ってきたのがうかがえる味わいのあるものだ。