椅子ひとつ空けて旧交温め酒
窓を閉めて湯に浸る季節となった。
窓を閉めるのはもうひとつ理由があって、ひとつ飛んだ空き地を菜園に畑仕舞いの煙だろうか、焦げたような匂いがここ3日も鼻をつくからだ。住宅地の真ん中でものを燃やすのは遠慮してもらいたいものだが、このあたりの元地主の保留地に相違なく昔の感覚で畑で燃しているわけである。
ともあれ、風呂もいつものように長風呂に戻り、浸りながら今日の句を考えるわけだが、とくに季題も思いつかないのである句会の兼題を考えることにする。
重陽の節句というのは9月9日だが、陰曆では10月25日くらい。この日は菊酒を飲むことでも知られるが、健康を願って酒をあたためて飲むという。冬至に南瓜を食うというのと同じようなものである。であるから、「温め酒」というのは単に熱燗や冷や酒と同列のただ温いというだけではない、健康を祈ってという願いも含む季題なのである。
酒を酌むにも三密を避ける意味でも、椅子ひとつあけてカウンターに腰掛けるというのはコロナとの共生のあり方であろうか。
コロナにはご遠慮いただくようお願いする酒もまた本意にかなうことなのでる。