買うもの

しやぼん玉割れて見開く幼かな
彗星の尾を引くごとししやぼん玉

昨日の句会の兼題である。

いまどきのしゃぼん玉セットはストローで吹かずとも、風さえあれば彗星のように尾を引いていくつもの玉が生まれてくる。あるいは、大きく孤を描くようにストロー様のものを振り回すだけ、いとも簡単に飛ばせることができる。なので、いまや幼児にしゃぼん玉の吹き方を教える楽しみもなくなってしまった。
昔は洗濯石鹸などを溶いて、風船液を自分で作ったものだったが、、その練り具合がけっこう難しかった。濃くし過ぎるとストローの先に液がたれるばかりでいっかな玉にならないし、なったとしても重くて飛ばすことはできずストローから滑り落ちてしまうという具合である。また、薄ければ薄いで吹いている途中で割れるなどしていっこうに玉にならないのである。このように液の調整からして難易度が高いというわけである。
さらに、今度は吹き加減である。そのうえ幼児にとってはストローは吸うものとなっているので、息を吹きかけることから教えることが付け加えられる
だが、初めてしゃぼん玉を見る小さな子の表情を眺めるのは楽しいものである。
手でつかもうとしたり、割れたらびっくりしたような顔を見せたり、けたけた笑いころげたりとか。
今はしゃぼん玉はクワガタやカブトムシと同様に買うものとなりはてて、逆にとらえたり作ったりする楽しみがなくなったのは寂しいものである。

簡単

山内の坊に湧いたる石鹸玉

小さなお子さんでもいるのだろうか。

今風のしゃぼん玉が塀を越えてつぎつぎと湧くように飛び出してくる。
昔の石鹸を溶かしたのと違って、今は吹かなくても液を浸したストローみたいな奴をタクトを振るようにしてやれば勢いよく飛び出すし。だれにでも簡単にできるけど、その分工夫の面白みに欠ける。
だけど小さな子でも簡単にできるのはいいことだと思うけど。

童心に

しゃぼん玉はしゃぎゐる声塀越しに
築地塀を越えて消えゆくしゃぼん玉

今どきのシャボン玉セットというのはよく飛ぶようだ。

立派な築地塀のある邸宅から、小さな子供たちのにぎやかな声とともにシャボン玉が泡のように次々と越えてくる。シャボン玉は風に乗って50メートル以上も飛んで、東大寺の境内にまで達している。
観光客もその飛んでくる方向をしきりに眺めては、互いに目を合わせて微笑み返し。
国を問わず、年齢を問わずシャボン玉というのは人の心をひきつけるものらしい。

兼題

つぶしてははしゃぐ子もゐて石鹸玉

今日のNHK俳句番組を見ていたら兼題が「石鹸玉」だった。

新年度に入り岩岡さんに代わって、「群青」主宰の櫂未知子氏があらたに担当になったようだ。氏はこの番組を通して現代では忘れ去れようとしている季題を扱うと言ってるのが面白そうである。さらに、我が属する俳句会と違って、口語表現などを駆使した新しい句を詠む人なので新しい世界の期待もある。

で、さっそく我もまた。