まほろばの空の不穏や秋黴雨
いつものようにたかをくくっていた。
雨雲が盆地の南方に進んできたのは分かっていたが、いつものように逸れるだろうという読みが完全に外れて逃げ遅れてしまったのだ。あと一鍬、あと一鍬と思いつつ苗床を均していたところ、急に風が出て逃げる間もなく大粒の雨が全身をたたく。
鍬やらレーキやら畑に打ち捨て這々の体で原付にしがみついたが、急に暗くなったこともあって前がよく見えない。たちまち下着までずぶ濡れで帰るなりシャワーに一直線。
かろうじて最後の西瓜を持ち帰れたのはせめてもの救いか。