くすみ

花冷の水をたたへしプールにかな

町営ウオーターパークの桜もどうやらピークを過ぎたようである。

駅へ向かう途中にあるので、いやでも目に入ってくる施設と立派な染井吉野。
今年は開花から満開まであっという間に到達したようで、きょうの冷たい雨はさながら花散らしの雨でもある。
鎮守の森の桜も年々の老化で細くなってくるように思えるうえ、彩度の衰えも隠せないのが、今日の雨でさらにくすんだ色になっている。
落花の頃檜花粉もピークを迎えるらしいが、この雨で一息つける鼻炎である。

町文化財

花冷や木戸に臨時の入山料

年々元気がなくなってきている。

町指定の文化財となっている、ある寺院の枝垂れ桜で推定樹齢二百五十年以上だという。
高台の南側斜面にあるので眼下に盆地が見渡せるが、いかんせん樹勢が弱っているようで見るにも気の毒になる。
町指定文化財とはいえ維持費をまかなうには十分ではないようで、この時期だけ入山料という名の桜保存資金を募っている。
我が家からはちょうど鎮守の森に遮られる位置にあり、行こうと思えばいつでも行ける距離だ。
鎮守の森の桜はこの天候で進行はゆるやかなようである。見頃は週明けとなりそう。

追い打ち

花冷や水切りのある石畳

寒い雨である。

強くなったり弱くなったり日がな降る雨は、散る花に追い打ちをかけるようでさえある。
毎朝窓から眺める八幡さんの桜が日に日に褪せてゆくのが遠目にも分かるほどだが、明日には薄汚れた花の塵が下に張り付いているにちがいない。

冬タイヤ

花冷の雨のしみこむ傘の骨

雪のところもあれば真夏日のところも。

列島の北は震えて桜どころではないかもしれない。金子兜太の
人体冷えて東北白い花盛り
を思い起こすような天気だ。
当地は雪にこそならないが朝から冷たい雨。鉢物を外へ出した直後だから、連中には悪いことをしてしまったようで申し訳ないことだ。
冬タイヤはもう少し履いていようと思う。