浮図田

石仏に影さしかけて萩若葉

浮図田(ふとでん)なる石仏群や萩若葉

浮図田の萩

本堂の左手に向かって回ってゆくと、浮図(浮図とは石塔・石仏のこと)田とよばれる石仏群が境内の奥のほうにまで連なってあり、初秋には桔梗、萩、そして彼岸花に彩られるという。そして、この浮図田のある位置からは本堂や禅堂の行基葺きといわれる瓦屋根がよく見える。大きな木の陰に立つと心地よい風も感じることができるので、さまざまな時代の瓦を眺めながら思いははるか飛鳥の時代を逍遥するのだった。

元興寺

元興寺極楽院の萩若葉

萩若葉揺るるにまかす古刹かな

萩若葉揺るるに任せ元興寺

僧房を取り巻く萩の若葉かな

元興寺極楽院の萩若葉

今日は奈良公園でまほろぼ句会。

この時期の奈良公園と言えば鹿苑で子鹿が公開されており、運良くば誕生の瞬間にも立ち会えるんだけど、あえて元興寺で粘ってみた。

元興寺というのは飛鳥寺を移築して造られた大変古い歴史をもつ寺で、平安時代の前期までは南都七大寺のなかでは東大寺に次ぐナンバーツーの位置づけをされ大変隆盛を誇った寺である。その寺域はいまの「ならまち」をすっぽり包み込むほど広大なものだったが、興福寺などのように有力な貴族の後ろ盾をもたない元興寺はやがて衰退し、今ではかつての僧房・極楽坊など一部だけがかろうじて往時を偲ぶよすがとなってしまった。

国宝に指定されている本堂(写真)や禅堂(本堂の奥)の瓦は、飛鳥寺を建立する際百済から遣わされた瓦博士によってもたらされた技術で焼かれたものがそのまま再利用されており、いわば日本最初の瓦である。さらに極楽院は萩の寺ともいえ、いまはその若葉が建物の四周を取り巻くようにして風に揺れている。

背筋を伸ばす

乱るるも予定調和か萩若葉

萩の芽が日に日に伸びている。

しかも直立したまま50センチ近くまでになり、これがあの萩の若葉の姿なのかとあらためて驚いている。
1メートルも伸びてくるとやがて己が姿勢を保てなくなって各枝が乱れ、それがまたかえって優美な姿として楽しませてくれるわけだが、茎が柔らかくても背筋をピンと伸ばした姿もなかなかいいものだ。

追)また今日もちょっと赤くなったばかりの苺がちぎられていました。犯人は誰なんだろうな。

直立

お堂より法話聞こゆる萩若葉

本長谷寺のあたりだったと思う。
五株の白萩がもう50センチくらいにまで伸びていた。

たしか有名な人物の寄進だったと思うが、それが誰だったかは忘れてしまった。今度長谷寺に行ったときに確認しなければ。
何本かの柔らかそうな株がすっくと真っ直ぐに伸びた姿はとても若々しく思える。秋には人の背丈くらいに伸びてしなやかな白萩を見せてくれるのだろう。