各地

而して田は捨てられき蛇苺

主が病に倒れて二年目。

昨年は助っ人が草取りから何まで田の管理をされていたが、今年はもう五月というのに春の耕しも入らず草が生い茂ってきた。一面雀の鉄砲に覆われて、このままではこの夏には雑草だらけになってしまいそうだ。
畔には蛇苺と思われる真っ赤な実が顔を出し、近くに寄るのさえうとましく思えてくる。
これまで無農薬栽培してきた田でそれなりに維持してきた田も、わずか一年で荒れ果ててしまうだろう。こうした形で至る所で田が捨てられ、そして集落が捨てられてゆくのだろう。

短い旬

藪わけて紅一点の蛇苺

草が青々としてきたなかに赤いものを見つけた。

蛇苺のようである。
食べられるらしいがまずいと言うことである。
同じイチゴでも草イチゴというのがあるがどう違うのかよく知らない。ただ、草イチゴというのは粒がつぶつぶタイプなので辛うじて今日のは草イチゴではないと判断できる。その草イチゴは草苺として苺の傍題となっている。
今日は菜園仲間から歴としたイチゴのおすそわけをいただいた。甘いのは売ってるものと差がない。上手に作れたものだ。ただ、イチゴの旬は短く自分で作ろうとは思わないが。

まずい

毒もつはげにまろきもの蛇苺

鎌の下から目に焼き付くような赤いものが飛びだしてきた。

みればあちこちにあの丸い蛇苺がなっている。
毎日のようにきている場所だが、いつの間にか生い茂った草の蔭で育っていたようだ。
蛇とあるので形だって毒々しいものかと想像するが、そんなことは全くなく、真ん丸の赤い実をつける、正真正銘のイチゴの仲間らしい。毒はなく乾かせばむしろ薬になるとも。
食べられるがうまくはないらしい。そんなところからも敬遠されてしまうらしい。しかし蛇苺自体知らなければ口に入れようとする人がいてもおかしくない。それほ旨そうに見えるのだから。

いつの間に

ひさかたの土に親しみ蛇苺

みぃちゃん騒ぎでここ数日は畑どころでない日々が続いていた。

夕方ひさしぶりに畑へ降りてみると、途中あぜ道に蛇苺がびっしり生えている。しばらく前には小さくて黄色い花がいっぱい咲いてるなあとしか思っていなかったのは、どうやらこの蛇苺の花だったらしい。今は直径1センチにも満たない小さな実だけど、もう立派に真っ赤に熟しているようにも見える。
名前からして毒々しいが実際は食べても問題ないらしい。ただ、まずいだけである。