三寒初日

蝋梅の一木で足る甘さかな

探梅の道につんと香りがある。

蝋梅である。それも、日陰がちな場所でやせ細った枝ばかりであるが、香りの強さは変わらないようである。
思わず近寄って枝を顔の前に寄せてみる。なんとも甘い香りだ。年の暮れから始まって間もなく寒が明けるという時期まで随分花期は長い。

肝腎の梅は半分ほどほころんでいるのもあれば、まだ蕾のものも。ただ、蕾といってもいくぶん膨らんできているような気がする。

今日の鳥は、モズ、エナガ、シメ、イカル、ツグミ、鶯、ルリビタキ(ただし、雌)、メジロなど。水鳥は先日に同じ。

花瓶を置く

蝋梅をほめて一枝剪りくれし

散歩中すばらしい蝋梅があったので声をかけてみた。

ちょうど満開一歩手前で枝振りとしてはピークと思われたのである。二言三言言葉を交わしているうち、持ち主がやおら剪定鋏を持ってきて一本持って帰れという。さらに、玄関においたら香りがいいよとアドバイスももらう。
ありがたくいただいて、芳香を楽しみながら帰宅したのはいいが、よく考えたら玄関はだめなのだった。なぜなら、若い猫どもに下駄箱の花瓶を割られたことがあって、以来いたずらの対象になりそうなものはすべて隠すしかなくなったのである。結局、我らが寝室が落ち着き先とあいなった。猫どもを入室厳禁にしているのはここしかないからである。

冬の花

蝋梅の枝の元より咲き初めし

まだ咲き始めたばかりのせいか、枝には蕾がびっしりついている。

で、よく見ているうちに気がついたのが、蝋梅というのは枝元から順に先の方へ向かって開いてゆくものらしい。寒いせいか随分日数をかけて咲いてゆくものだ。この分でいくと、枝の先まで開くにはあと一ヶ月もかかりそうなくらいだ。

この時期は遅咲きの山茶花、水仙くらいしか咲いてないので、花を見つけると暫くは立ち止まって香りなども楽しむことができる。

美人の肌

蝋梅の病みたるまでに肌透けて

和風の家の玄関先に蝋梅が咲き始めていた。
開いたばかりとみえて香りは届かない。花弁は一様に上向き気味で、透過光が眩しいくらい。

暦は寒に入ったが、やがて早梅も顔を見せてくれるだろう。