口汚し

葭切や権座通ひの水脈引いて

いつものZOOM句会の日。

毎回二つの兼題が出されるのだが、「葭切」という題は一句も作らなかった。というのも二つ目の「オリーブの花」に無謀にも全十句出句したからである。
オリーブの花を庭のシンボルツリーにされているお家もあるが、やはりオリーブと言えば瀬戸内、それも二十四の瞳の小豆島のイメージから離れることができない。この染みついたイメージからなんとか逃れるべく悪戦苦闘したというわけである。
結果、可もなく不可もなし。満足できる句は授からなかった。
口汚しのつもりはないが、葭切の習作である。

腰の強いほうが好き

三脚のレンズの先の行行子

名の通りである。

ぎゃあぎゃあと賑やかだ。
どこかと探す手間も要らない。カメラマンの長玉レンズの先を見るだけである。
枯れ葦の先端を器用に両足でつかんで大きな口を開けて鳴いている。
毎年、葦原の半分だけ刈っては残りを野鳥のために残している。若い葦もすっかり伸びたのだけれど、やはり腰の強い枯れ葦のほうを好むようである。

仰々しい

行行子右へ左へ葦の風

近くで鳴いている。

池のある部分が葦原となっていて、鯉、亀、小魚、水鳥たちの安息の場所だが、今日はそこにヨシキリを発見した。
木橋から鼻と目ほどの距離に、風に大きく揺られながら葦に掴まっている。
騒々しい声からすると、「行行子」より「仰々子」のほうがよほど似つかわしい。雌でも呼ぶ声なのだろうか。

藤原京跡にて

発掘の手の休むなく行行子

地味ながら藤原京跡の発掘作業が続けられている。

藤原京
藤原京跡から天の香具山を望む

まだ手つかずと見えて葦の原になっているところもあり、姿は見えないがオオヨシキリと思われる賑やかな声が聞こえる。そばまで行って確かめようとするのだが、さすがに近づくと鳴きを止めてしまう。
足許のオオヨシキリ、頭上には雲雀が賑やかな、藤原京跡の夏である。