青鷺の子持烏に追はれけり
青鷺にしてみればいい迷惑だろう。
たまたま通りがかった森から烏が飛びだしてきて、身を賭して追いたてに駆られる。びっくりした青鷺は聞いたこともないようなけたたましい声を上げて一目散に高く舞い上がる。
自然界にはこうした子供を守ろうとする親の戦いがあちこちで繰り広げられているのであろう。
人間さまにはあれこれいたずら止まない烏だが、こうしてみてみると彼らも生きて子孫をつなぐのに懸命なのである。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
青鷺の子持烏に追はれけり
青鷺にしてみればいい迷惑だろう。
たまたま通りがかった森から烏が飛びだしてきて、身を賭して追いたてに駆られる。びっくりした青鷺は聞いたこともないようなけたたましい声を上げて一目散に高く舞い上がる。
自然界にはこうした子供を守ろうとする親の戦いがあちこちで繰り広げられているのであろう。
人間さまにはあれこれいたずら止まない烏だが、こうしてみてみると彼らも生きて子孫をつなぐのに懸命なのである。
田水みち青鷺の哲学者めく
用水から水が流れ始めた。
下の田からはじめて徐々に上の田まで水が引かれてゆくシステムのようだ。
そのおこぼれをいただくのが素人菜園。これより収穫を迎える秋口まで、バケツさえあれば水は確保できるのが助かる。
水の恵みは稲のみならず、おたまじゃくしも蛙も、そしてそれらを狙う天敵群にもその恩恵にあずかることができる。
里山の生態系の典型がまた見られる季節となった。
青鷺のにはか駆けだす濁田かな
剣豪武蔵の絵に似ている。
モズが枝にとまっている静寂のたたずまい。
絵のようにじっと動かぬまま佇んでいるときもあれば、餌を漁る忍び足、そして時折見せる駆け足。貪欲な食欲、なかなか旺盛である。ときには見に余るサイズを持て余して放置することもあるが。
この鳥の最も優雅なのは、やはり飛翔である。灰色、紺色に染め分けられた大きな翼が頭上を飛んでゆく姿を見送るのは感動的でさえある。
青鷺の森となりける御陵かな
全長220メートルを超える堂々とした御陵である。
第11代垂仁天皇陵は、外壕の中に田道間守の墓とされる小島があることが特徴だ。
水をいっぱいに湛えた壕には餌が多いらしく、カイツブリや川鵜が次々に水もぐったりしている。また、墳丘に繁った木は青鷺のコロニーになっているようで、何羽かが木の上にまるで飾り付けのようにじっとたたずんでいるのが見える。
この垂仁天皇というのは、皇后の亡くなったとき殉死をやめさせ代わりに埴輪を作らせたり、皇女の倭姫に天照大神の祭祀を命じたりしたとされるが、さらに相撲の発祥になったと伝えられる野見宿禰と当麻蹴速の闘いもこの天皇の前で行われている。
宮内庁による陵の名は「菅原伏見東陵」ということから分かるとおり、ここら一帯は後世に土師氏の支流・菅原氏の本貫地となっており、あの道真も当地で生まれたとされている。
ちょっと足を伸ばしただけで、古代に触れられるのも奈良らしくていい。
青鷺のけだるく田の辺に降りにけり
大和盆地のカイツブリはすでに書いたが、青鷺もまたよく見ることが多い。
へたすると大鷺よりも数は多いのかもしれない。
あの洒落た藍灰色をした翼を広げた舞い姿というのは実に粋でダンディでいつ見てもほれぼれする。
マイファームの数段上の田がお気に入りらしく、必ず数羽(多分ファミリー)できては優雅に舞い降りるのだが、たまには降りずにそのまま悠然と滑空している時もある。そんなときはいかにもけだるげに見えるのだが、もしかすると若鳥の調教中かもしれない。