けなげ

矮犬の野太く咆えて園うらら

最近家で飼うのが当たり前になってさらに小さくなった。

伝統的な犬がめっきり少なくなって、改良された矮犬全盛の時代である。これが極端になると骨折しやすくなったりとか、特有の病気が多くなるとか、人間の都合によって小さな命をもてあそぶ弊害もでている。
何の犬種か分からない、ごく小さな犬とすれ違ったら、いきなり体に似合わない太い声で咆えられたので驚いた。けなげにも主人を守ろうとしているようで微笑ましくも思えるほどである。

天満さん

桜葺く軒に日集め繁昌亭
天神の裏手明るき桜かな
昼席の開場待ちて亭うらら
昼席の太鼓聞こえて宮うらら

この春から月に一回天満宮近くにでかけることとなった。
今月で二回目だが、行きと帰りといろいろな交通経路を試してみるが、ことごとく乗り換え時には迷子になる始末。
まったく土地勘というものがないので、東西南北の見当がつかないのだ。
毎回グーグル先生の指示する予定より10分も15分も多くかかってしまうのだ。
ま、その分新しい発見もあるわけで、今日などはひょんな場所からあの天満宮さんを見つけたので、早速寄り道した。
天満宮さんはさすが浪華の神さんで、摂社末社の数がそれこそ「ハンパナイ」。
それをグルグル巡りながら参拝する信心篤い人もちらほらで、これも浪華らしい。

天満宮さんには六つの門があるとかで、その内のひとつのすぐ外に役者の出待ちでもしているような人集り。
なんだと近寄れば、繁昌亭だった。どうやら昼席の入場待ちの人のようで、10人づつくらい順番に呼ばれてなかへ入ってゆく。

ボランティア頑張る

ブロークンなれどジョークの長閑なる

英語フリップを脇に客を待っている。

奈良の主立った名所ではボランティアガイドが大活躍している。
平城京、飛鳥、斑鳩など、事前に申し込めばそれぞれの名所に詳しいガイドが半日くらいつきあってくれる仕組みがある。もし、グループで来られるなら、事前に調べておくのもおすすめだ。

ゆるい

うららかや髭の講師の城語り

ブレークと言っていい城ブームである。

その中心にいる先生の講演会があって、二時間ばかりを大和の城の話で楽しんだ。
なんでも、砦も含めると大和には400もの城があるそうだ。
山城として知られる高取城、大和国人や筒井順慶らの城、松永弾正の信貴山城、多聞城、羽柴秀長の郡山城など数えてみればたしかに歴史の要所要所に顔を出す英傑たちの城は多い。
古代ばかりが注目される奈良だが、中近世、近代のもっと注目されていい観光資源がまったく活かされてないのは惜しいとの話には説得力がある。
たしかに、よそもんの目からは民間の活力がまったく感じられない県で、いくら県や市などが予算を投じてイベントを企画しても単発で終わってしまうようなところがあり、笛吹けど民は踊らずという感じである。宿が日本一少ないと言われても、誰も手を上げる人が出ず、市有地跡地のホテルにも県外の外資系だけが入札したりとか。
京都のように、古代から近代までの資産をうまく活用して観光都市として冠たる地位を築いたのも、維新以降取り残された京都に活力を絶やさないよう、ひとえに民のたゆみないアイデア、努力の積み重ねがあったこそである。
およそ奈良の人たちは、べつに京都のようにならなくていいというようなところもあって、お上など周りのものがいくら騒いでも簡単にはこの県民性を覆すのは容易ではないと思われる。逆に言うとこのゆるさが奈良の魅力かもしれないなと、最近は思うようにしている。