大きな囲炉裏

天窓をいぶせるばかり榾の宿

雪の中ようやく宿に着いたら大きな囲炉裏が待っていた。

囲炉裏には大きな木の根がくすぶっている。古民家風に設えられた宿の天井は高く、炉の薄青い煙が天窓へ向けてのぼっている。まずは冷えきった体を炉端で温めていると、やがて歓迎の熱い珈琲が出されひと心地する。しばらくそうしてから宿帳に記入して部屋に案内された。

何年か前に訪れた雪深い温泉旅館である。部屋も湯も食事もすべて満足できる印象深い旅館である。

“大きな囲炉裏” への6件の返信

  1. 居心地の良い宿で、至福の時間を過ごされて・・・いいですね!
    素敵な旅の思い出の一つ、になる事でしょう。 
    冬の旅も 良いものですね?nao

    1. 記憶に残る宿というのはそう多くはなくて、気に入ったところは何度でも行きたくなりますね。今頃はきっとすごい雪に埋まって、行き着くことさえ大変なんじゃないかと思います。

  2. 今どき囲炉裏の切ってあるお宿は少なくなりましたね。
    飛騨の山奥にはおおきな囲炉裏の宿があります。
    雪深い温泉宿の囲炉裏のほだ、懐かしい光景・・・
    想い出のひとときをお楽しみください。

    幼い頃が甦ります。
    まだ家に竈(おくどさん)があってお祖父さんが居た頃のこと。
    冬の朝、目覚めると板敷きのおくどさんの前に座り暖をとります。
    自在鍵には黒光りの薬缶がかけられ榾木が燻ぶりしゅんしゅんと湯が沸き立っている。

    それからしばらくし竈が無くなり今度は母方の建具師だったお祖父さんが居間の畳を一枚はずして掘炬燵を切ってくれた。
    そこにテーブルと炬燵布団を置くと食卓兼遊び場兼勉強場となる。
    父の焼いた炭がいつもくべられて子どもにとっては格好の冬の遊び場であった。

    郷愁を誘う火にまつわる思い出もだんだんと風化しつつあります。

    1. 一畳の掘炬燵というのは一家族が寄り合うにはちょうどいい大きさですね。みんなが暖をとり、食事も一緒ならば、寝るときだって四方に布団を敷いたりして。ああ、もうみられない光景かもしれません。

  3. 榾、読み方も意味も知りませんでした。木に骨がいいですね。冬の季語ですか、なるほど。
    那須山荘のご仁はつい今ごろも榾火で一杯やってるのでしょうね。

    1. 榾火の囲炉裏というのはもう珍しいんでしょうね。薪ならあるでしょうが。その薪だって新しいログハウスなどでは買ってくる人も多いようです。
      歳時記にはもう記憶の彼方となってしまっているものがたくさん出てきます。生活の知恵とか言葉とか、日本文化のオリジンが一杯詰まっていて見飽きるものがありません。
      一方で、コンピュータ関係を生業にしてきた半生ですが、あの雪何とかとかいう類いのコンピュータ合成の画像にはどうしても馴染めません。

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