天向けてその芽突き上ぐ白木蓮
めいめいの居場所定める白木蓮
三月、散歩などしていると、背の高い白木蓮の枝いっぱいに、白くて大きな花が天に向かって突き上げるように咲いているのに出くわすことがある。いよいよ本格的な春が来たことを実感する瞬間だ。
その一月ほど前、立春を過ぎる頃寒い間それまで蕾を守っていた顎を落とすと、猫柳のような和毛の芽が顔を出す。春への発進である。
紫木蓮は桜が終わった後になる。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
春泥や見つけし歌碑の黒御影
奈良には奈良を深く愛した会津八一の歌碑が多い。
秋篠寺を南門から入ってすぐ左の林の中にもその歌碑はあった。
秋篠のみ寺を出でてかえり見る生駒ヶ岳に日は落ちんとす
よく磨き込まれた黒御影には本人揮毫による全ひらがなの達筆が刻まれている。
大路より見上ぐる毎の末黒かな
恒例の若草山焼きが1月26日にあったので、今頃の山容は遠目にも真っ黒であることが分かる。
この状態を末黒(すぐろ)というのだが、吟行地から句会会場に向かう途中登大路を歩いていて見えた光景を詠んだものだ。県庁のビルの間から見えた姿からは、焼けた部分と残された部分がはっきり分かるように見え大層迫力があった。
実は山焼きの翌日当地では積雪があって、自宅にいながらきっと若草山では白と黒のコントラストが素晴らしいだろうなあと想像だけで終わってしまったので市内から来た方にそのことをうかがうと、それは大層素晴らしいものだったと聞いて今度チャンスがあったら来ようと思ったのだった。
白壁の往古を偲ぶ春の寺
今日は入会したばかりの俳句会吟行デビュー。
技芸天さんが人気の秋篠寺だ。
ここは桓武天皇の父・光仁天皇勅願のお寺で、称徳天皇・道鏡事件のあと61歳で即位した天皇は血なまぐさい政争を避けるためひたすら酒の日々を送ったことで知られる。没後桓武が一周忌の齋会を大安寺で営まれたという故事により、毎年1月23日には大安寺で光仁会(こうにんえ)が行われ笹酒がふるまわれるほどである。筆者は当日あまりに寒かったので今年の光仁会は遠慮しておいた。
天皇は天智の皇子・施基親王の皇子で白壁王といわれた人である。施基親王といえば百人一首に一家言のあなたもわかるよね?
追)俳句の表記は語句のあいだにブランクをあけないものだと聞いたので今日からそのように書いていきます。