和魂の舞ふや龍田に風花す
大和川が大阪に抜ける狭隘な部分を風が吹きぬけてくる。
まるで鞴のようだ。地形で言えばちょうど関ヶ原のようなものかもしれない。
龍田に風の神が祀られたというのも、そういうような地理的な要件が関係しているかもしれない。考えてみれば、外つ国からの到来物も龍田を経由して大和に入ってきたわけであり、邪悪なものが入り込まないようにと言う願いもあったはずだ。
龍田の荒ぶる神がお怒りになると、国には災害が頻発し凶作、疫病も流行るわけで、昔から風鎮めの儀式がおこなわれてきたことは万葉の歌にも詠まれている。
だから、日照り雨ならぬ日照り雪が風に乗って飛んでくるというのは、むしろある意味で龍田の神のご機嫌がいいときで、さながら和魂が舞い降りられるようなものかもしれない。
大和川の河川敷に立って、龍田に向かうと信貴山颪にのって三諸の山からさかんに風花が舞いくだってくるのがよく見える。