小春にさそわれる

立ち枯れて下葉にゆづる冬日かな

大きな木が枯れて若い木々に日が差している。

目の前の漆の若木の紅葉葉がハイライトされて、日に透ける緋色が美しい。
これが小春と言わんばかりの日和である。しばらくその美しさに見とれていた。

初霜

チン鳴ってウィンナ解ける霜の朝

初霜が降りた。

すぐに解けたが、水栓の水が妙になま温かいのを新鮮に感じた。それは、まるで地中に張り巡らされた血管のようで、脈打っているその体温に触れたようだった。

冬の香

香の拠る処答へていはく柊と

風に運ばれてくる香にはっとする。

お隣さんから、花の名を訊かれた。
地味な花ながら強すぎることなく、かといって決して貧弱でもない香り。へたな香水なら、長く嗅げばクラクラとしてしまうが、これは上品な香りである。
香しいが控え目な匂ひ。春の沈丁花、夏の山梔子、秋の金木犀はそれぞれの季節を代表する香りだが、冬の花柊こそ好ましく思う。

車検

新しきワイパー拭ふ初時雨

この車検でワイパーを交換してもらった。

古いまま交換を怠っていたら、ワイパーを動かせば動かすほどフロントガラスの曇りが尋常ではなくなった。
だから雨の日はなるべく車を出さないようにしていたのだが、ゴムを換えるだけでこんなに視界がクリアになるものかと今さらながら驚いている。
今日は、店から出た途端に大粒の雨が落ちてきたが、一振りで雨粒が飛び散ってしまった。安い部品なので、つぎの車検の時にも忘れず換えようと思う。

旬のサイクル

いさぎよく繊六本の大根汁

大根だけの汁。

これがうまいのである。
旬とはよく言ったもので、今の大根はどんな料理でも文句なしにうまい。
ともすると、旬という感覚さえ日常生活から失われようとする今、旬のサイクルにしたがったライフスタイルこそ見直されていい。
夏の野菜は体を冷やし、冬の野菜は体を温める。
今晩は風呂吹だったが、大根がかくれるくらいのたっぷりの味噌に躊躇したが、ちゃんと塩分を考えたうえでのことだろうと、こぼれようとする味噌もすくってきれいにいただくことができた。

暖をとる

栄養指導受けて雑炊具たくさん

野菜づくしの雑炊。

塩分過多の要因は朝はパン、昼は麺類の食生活ゆえんだと栄養指導で指摘された。
とくに麺中心の昼を考え直せと。米は二人で日に米一合炊くだけとなっており、この小麦粉との比率を見直した方がいいと。
寒いときの昼はうどんやラーメンが暖まっていいので定番なのだが、さっそく初日の今日は雑炊である。
具がたくさん入っていいるとなかなか冷めないのがいい。おかげでうどん同様体が暖まった。
具の中でも大根が一番うまいと思った。

朝は寒いぞ

二重窓挟んで吾と雪蛍

今年最初の綿虫を見た。

朝、いつも通り猫たちのブラッシングをしていると、窓の外をふわふわ行き来している。
雨が止んでも雲が厚く、どんよりとした日のせいか、今日はもっぱら低いところを浮遊しているようだ。
目をこらすと、一匹だけなく何匹かいるようだ。
外へ出てみても気温せいぜい13度しか上がらないくらい低い。
いよいよ冬の感を強くする朝だった。