滑舌

許可局とはつきり聞こゆほととぎす

まだこの辺りにとどまっているようだ。

菜園に着くなり棚田の奥のほうから時鳥の声が聞こえてきた。それも今日のはかなり明瞭だ。
「トッキョキョカキョク」と啼くと言われるが、まさにそれなのである。とくに「キョカキョク」の部分がしっかりそのように聞こえてしばらく聞き惚れた。
さっそく真似して「トッキョキョカキョク」と言おうとしたが、全然舌が廻らない。早口言葉、滑舌の練習にも用いられるフレーズだが、いくつになっても上手にはなれないでいる。
日本語の特徴として、舌や、口の周りの筋肉などはあまり使わないこともあって、このフレーズは平坦に流そうとするとまず無理のようである。「オ」の音が多いのでそれを意識して唇を縦に突き出すようにチャレンジすると意外にうまくいくようである。試しに、まずは最初の「ト」から口をすぼめて始めると意外に後が続く。お試しあれ。

競演

遠時鳥とかく失せ物多し

昨日、今日と連続して遠くの時鳥を聞いた。

信貴山下の棚田一帯を渡り啼いているようだ。時間は午後遅い時間。深夜啼くことがあるし、活動時間帯は想像もつかずまるで忍者みたいな鳥である。
いっぽう近くの両岸が竹林に囲まれた川では、日がな一日鶯が啼いていて両者のハーモニーはこの時期だけの自然の贈りものである。
明日から雨が続くというので菜園の雨対策のほかサツマイモの苗挿しも何とか間に合わせることができた。
あれもこれもとやることのある一方で、鶯と時鳥の競演。それらに気をとられているとこれまたあれこれ忘れ物したり、失せ物探しにうろうろしたり。いやはや、あわただしい日であった。

六月の声

健やかや遠ほととぎす聞きとがめ

耳はまだ大丈夫らしい。

きょう二日ぶりに畑へ行くと、おそらく信貴山の麓あたりかと思われるがかすかにホトトギスのキョッキョッキョッという声を聞いた。
それはほんとにわずかな声でほかに作業している人に伝えても分からないという。
かすかでいて、しかしはっきりとホトトギスと分かる鳴き声を聞いているとまるで白昼夢のように思えてくる。夜に夢うつつでホトトギスを聞くことが多いが、今日はその白昼版でもあるかのようであった。
ホトトギスは移動性が強いので明日はもう聞くことがないだろうが、いかにも六月の声を聞くようでやはりホトトギスは初夏あるいは梅雨前には欠かせない鳥だと思う。

接種完了

ワクチンの列に待つ間のほととぎす

昨日は菜園、今日は町の健康センターでほととぎすを聞いた。

とくに今日は住宅街にまでほととぎすが来るのかと驚くほど近い。
二回目の接種も無事終わり、10時間ほどたつが目立った副反応はまだない。
昼間のZOOm句会を終えて、夕方のひとときを惜しんでサツマイモ、トマトと茄子を植えた。あすは西瓜、シシトウを植える予定。遅まきのキュウリとゴーヤのために今のうちに支柱を立てれば何とか夏野菜たちがそろうことになる。

こだま

天彦の風運びくるほととぎす

鶯がよく鳴くこと。

暑くなって窓を開けることがふえるととくに目立つ。
八幡さんの杜から住宅地にこだますように聞こえるのだが、今日はその声に時鳥も混じってしばらくはぜいたくな合唱である。
ここ二三日聞いてるが、常に移動しながらなく鳥であり、しかも同じ場所にはとどまらないですぐ他へ行ってしまうので、ここ数日にかぎられる合唱と言える。

血を吐くような

臥せてゐて昼夜逆転ほととぎす

油断して風邪を引きました。

昼間はウグイス、夜中はホトトギスがよく鳴いてます。
ときどき狂ったように鳴きますので、血を吐くというのはまんざら誇張ではないような気がします。

ひさしぶりにベッドから投稿しました。

誰にも聞かれず

夕刊は朝くる里のほととぎす
山の田を渡りつつあり不如帰

峠路に山荘が散在している。

なかには定住しているお宅もあるが、たいていは別荘として本来の使い方をされているようだ。
見渡したところポストもなさそうなので、郵便をだすにも下の里まで行くのだろう。
新聞だって律儀に朝夕届けてくれるかどうかは怪しいような山の中。
そんなまったく人影の見られない別荘地に、今年初めてのほととぎすを聞いた。どうやら別荘地の周りを巡回しているようで、耳を傾けて聞いているのは吟行子くらいだろう。