微笑み返し

大年の会釈遠きに交はしけり
大年のホース片手の遠会釈

ふだん滅多に顔を合わせない人と目があった。

大晦日ということで家の前で洗車しておられる。当方からは50メートルほど離れているが、彼もまた玄関を出てきた爺さんに気づいたのであろう、こちらから軽く会釈を送ると同じように返してくれた。彼とは何年も前に同じ自治会の役員として活動したこともあり、知らない仲でないのでお互いに自然にもれたアクションである。
当方はとうとう今年は洗車はせず仕舞い。何度か暖かい日があったのでその気があればできたのであるが、体力とともに気力の方もだんだん衰えてきたようである。
ことしもお世話になりました。だんだん小さい世界のことしか詠めなくなってきましたが、来年もなんとか続けたいと念じています。
よいお年をお迎えください。

信頼

大年やこよなく晴れし日をたまひ

年も押し詰まって穏やかな日をたまわった。

今日の朝までお節作りに勤しんで匂いやら音やらが部屋中に立ちこめていたが、それも帰省できない子に大晦日までには届けたいからである。
宅配にて時間指定できるので明日の午前中でも大丈夫だという。さすがにクロネコ便である。こんなときとてもじゃないが郵便局には頼めない。年末の渋滞中であろうと一旦引き受けてくれたものは確実に届くという信頼はゆるがないのである。
宅配便発送と入れ違いにもう一人の子が帰省してきた。
今日は佳い日である。

再会

大年の空掃き清め細雪

久しぶりに外の店で昼食を食った。

冬休みとあって混んではいたが、ふだん見かけない垢抜けした若い男女がちらほら混じっている。帰省中の学生や勤め人などが久しぶりに旧交を温めているようにも見え、ほんとにこの冬休みは束の間のコロナ休戦なのかもしれないと思えた。
我が家も3年ぶりの親子再会となった。次回会えるのはいつのことか先のことは見通せないが、行く年を親子で過ごせることもまたよきかなである。
昼食を終わって外へ出るとちらほらと雪が散ってきた。天気は悪くないので風花かもしれないが、大年を締めくくるのにふさわしい雪見舞いである。

目出度さ中くらい

大年の流し浄むる水の音

今年の水使いも最後の夜である。

すでに晦日蕎麦は食ってしまったし、あとは熱い風呂での締めくくりが残るだけの静かな夜である。
寒いけれど幸いにして雪はない。
おかげさまでたいした病気もせずに年を越せそうです。
みなさんにはどうぞよいお年をお迎えください。

ゼロサム

大年の夕より晴れてきたりけり

日中は曇りにかかわらずばかにあたたかな大晦日だった。

このまま暖かな大晦日の夜になるかと思ったが、夕方から晴れてくるとともに空気が冷たいものに変わってきて、北風も吹いてきていよいよ大晦日の雰囲気となってきた。
最後に帳尻を合わせたような天気だが、わが家にとって、はたして今年はプラスマイナスどちらに傾いたと言えるだろうか。プラスならおおいに結構というところだが、大きな災いもなかったを見るとプラマイゼロといったところだろう。目出度し、めでたしである。
応援いただいている方々にも、来年もまたいい年であるように。

同輩

大年のポストへ鈍く落ちにけり

ここ数日インフルかと思える節々の痛みがあって何をするにも億劫だった。

しかし、せっかく用意した年賀葉書をムダにするわけにもいかず、今日午後何とかきっちり50枚書き上げた。というより、刷り上げたと言う方が正しいか。
今年新しい印刷機に替えたのでそれこそあっという間に刷り終えることができたので、これなら集配最終便に間に合うかと郵便局に走ると、何人か先客がいて、局は休みだから、みんな同じように大晦日ぎりぎりの投函の同輩のようである。
そのせいか、ゴムバンドで留めた葉書の束が落ちるとき、いつもよりも鈍いような音がしたのは気のせいだろうか。

今年も今日でおしまい。
毎日お付き合いいただいて本当にありがとうございました。
どうぞよいお年を。