インフォームドコンセント

術前のリスクつぶさに聞く小春

外はうららのいい天気。

来院者が引きも切らない地域病院の眼科で長く待たされた。
自分の手術ではないけれど家族にも事前説明の日である。待つ間の退屈な時間をつぶすべくスマホをいじったりするが、それもすぐに眼が疲れてしまう。そこに目に止まったのがセルフ血圧計。例の腕をわっかに突っ込むとぎゅっとしぼられて一分ほど、小さな紙に印字されて結果がでてくるやつ。家人はいつも普段より高めに出るとこぼしていたが、逆に低い数字が出た。
それではと家人も測ってみたが、案に反して今日は低く出て狐につままれた様子。
ややあって、お互い笑い合う、いい小春日和となった。
が、順番がきて、二回目の手術とあって気楽に望んだが今回の若い先生はやたら詳しく、これもインフォームドコンセントを得るためのものであろうことは容易に察し得るが、まれのケースを並べられるのも困惑するばかりである。

鉢増

小春てふ明日を約する無風かな

庭の紅葉が最高潮に達した。

小春の明るい光に透けて庭の板屋楓が燃えるように紅い。息をのむ美しさで、我が家に来てから初めての紅葉を見せてくれている。
これは庭に下ろしていたものを調子が悪いので、一昨年の冬に鉢に植え替えたものだ。
そうしたら鉢の大きさに比べて背が高くなりすぎて、強い風が吹くと何度も倒れては起こすという手を焼かせる子だったので、落葉したら鉢増する予定である。ひとまわり大きい鉢を買ってきて用土も揃えてある。今月末頃の衣装替えが楽しみである。

ワクチン不足

ワクチンの注射待ちをる院小春
嘴太の睦む枝ある小春かな
遊漁の凪ぎて欠伸の小春かな

今年はインフル予防ワクチンが足りないようだ。

受付で何人かが申し込んでいたが、予約のない人はみんな断られている。
次回いつ入荷するかも分からないので、来月中旬に電話してみてくれと言われてすごすご帰って行く。
風邪がはやっているのか、内科待合室は満席である。
窓からはさんさんと冬の日がさして、待合室の椅子で居眠りしそうになる。

散歩日和

甘いもの口が欲する小春かな
意識して歩幅広げる小春かな
ころころと笑ひころげる小春かな

散歩とおぼしき婦人たち。

すれ違いざま聞こえたのが、「甘いもんでもたべてこか?」。
たちまち衆議一決したようである。
後ろ姿は心なしかピッチがあがったような気がした。

得んとせば

奈良町の坂町と知り小六月
奈良町の坂慈しむ小春かな

毎月第一火曜日は定例の吟行。

12月は奈良町の歳晩風景、1月は東大寺・春日大社の新年風景と決まっている。
毎年のことなので句材も尽きるのではないかと思われるが、日付、曜日も違えば、天気も違うわでメンバーが拾い上げてくる句には新しい発見に満ちている。

たしかに、奈良町には坂が多いことをあらためて知ったのも今日のことで、なるほど句材というものは探せば何処でも幾らでも見つかるものなんだろう。
犬も歩けばではないが、兎に角外へ出さえすれば何かに突き当たるということか。これを敷衍すれば行くところすべてに句材があり、出たけど句材が何もなかったというのは単に観察が足りないか、あるいは臨む姿勢が問われていることを自ら晒しているにすぎないのかも。

エコカー

納車日のまずは満タン小春かな

今日は日記がわりの句。

新車の納車日で、エコモードやらナビの使い方やらいろいろ説明を受けたあと、何はともあれガソリン満タンに。ポカポカ陽気でさらに時間があったので、その足でカー用品ショップに行き冬タイヤを注文。今まで乗っていた車に比べサイズが小さくて済むので、タイヤ代は半分以下。
エコカーはこんな面でも懐に優しい。