応援

扇風機風に貴賤はなかりけり

扇風機が心地いい風を送ってくれる。

梅雨の晴れ間は湿度もなく、わずかな風で人心地着くことができる。
扇風機のそよ風にさそわれて、ついうとうとと眠りに落ちそうになるのがちと難だが、それも悪くはない暮らしに馴れてくたびれたなと思ったら逆らわないのがいい。
ただ、昼寝は30分まで、それ以上寝ると睡眠リズムが狂うからと言うが、さいわい夜はすぐに寝られるたちときている。
起きては体を動かし、英語リスニングの学び直しに30分、そして疲れたら休む。眠くなったら寝る。
そんな毎日のリズムがすっかり染みついてきて、安物の扇風機がそれを応援してくれている。

タワーファン

羽根なきも扇風機とは申しけり

種明かしをすれば何だという感じである。

羽根もないのに気持ちいい風が出てくるとは不思議だなあと思っていた。
本体部と風洞部が分割して梱包されたのをはめて捻れば完成だが、本体部分にしっかりファンがついているではないか。
これが回転して風洞部に送り、風洞部はスリットから風が出てきて、それが鳥の翼をイメージした、いわば飛行機が揚力を得るために上下の表面の面積を変えた翼のような形をしていて前面に風を送り出す仕掛けとなっている。
扇風機の羽根で空気を切り裂くのと違って連続した風が吹いてくるというのが特徴のようである。
メーカーはタワーファンと言っているがたしかにそんな感じである。扇風機とはまったく異なるが、使うものにとってはそんなことはどうでもいい。扇風機でいいのである。

便利だが

一部屋に一台配る扇風機

扇風機を出す時期である。

何台も段ボールから出しては組み立て、各部屋に配置する。
何台もあるがみな安物ばかりだから、調子の悪いのもある。やはり一台はもう使えないものとなったようで、新しいものに買い換えることになった。テレビショッピングで頼むともう明日到着するという。特別セールだから在庫をたっぷり揃えているのだろう。
まるで、アマゾンで買うような感覚である。便利な世の中になったものである。

見苦し

足指で入るるに馴れし扇風機

ものぐさである。

足の親指でスウィッチオンオフ。
家の中だからとこんなことをしていたら、いつかどこかでうっかりやってしまうかも。
腰をかがめるのもおっくうになってきたとか、言い訳も聞き苦しい。

静かに回る

一台を分けたは昔扇風機
良く回る十年前の扇風機

エアコンを入れるほどではないが、風がほしい。

夜になって外が涼しくなっても家の中はまだ熱がこもっている。
できるだけ外の空気を穫り入れるため、窓際に扇風機を置けば気持ちのいい風が入ってくる。
あの首振りという機能は、元はみんなに平等に風を分け与えるのが目的だったはずだが、今の使い方はこういった涼しい風を隅々にまで届けるのがメインになったような気がする。
家には各部屋に一台ずつ全部で5台ほど扇風機があるが、子供たちが巣立って二人だけの暮らしとなると、一台を分け合うこともめっきり減ってほぼ個人専用だ。
昔に比べモーターやファンの音も静かだし、一部屋で二台の扇風機が回っていても気にはならない。
二台回してもエアコンよりは安いだろうし、エコだろうとは思う。

西日本焦げる

首を振る参千円の扇風機
扇風機首を振らしめ四畳半

とにかくこの空気をかきまぜてくれ。

熱い空気は上に昇るから、少しでも地べたに近い所に横たわっているほうが涼しいはずだ。
その、比較的涼しいはずの空気を得るために、扇風機の高さは一番低くしてあたり一面にまき散らすのだ。
そうした虚しい抵抗は午後3時半に終了した。これ以上がんばって救急車のお世話になってはしゃれにもならないと思った。

今宵は熱帯夜か

首振りの戻りもどかし扇風機
首振りの早よ戻り来よ扇風機

さすがに夜でも30度近い日が続くと、夜通し扇風機のお世話になる。

ただ一晩中ずっと風に当たりっぱなしはよくないというので1/fのそよぎとか、首振りにしておくのだが、ベッドに寝ころんだばかりは体表面もまだ高いせいか、首があっちの方へ向いている間のもどかしさといったら。
それでも、寝付きはいい方なのでやがてすぐに深い眠りに入るのだが、今のところ朝方はさすがに首振りにしておいてよかったと思えるくらいに十分涼しい。

これを書いている時刻は22:50、机上の気温計は30.5度、湿度65%を示している。
おそらく今夜は熱帯夜だろう。