旧嵯峨御所大覚寺門跡

苔庭の落葉掃くより弾きたる
山茶花の散るを意匠に苔の庭
水鳥の広く遊べる庭湖かな
大池の北はよく溶け枯蓮
枯蓮を撮って白雲映りこむ
名勝の名のみとどめて滝涸るる

想像以上に立派なお寺に圧倒された。

さすが門跡寺院の代表とされるだけの気品があり、短時間に見て歩くにはもったいなさすぎる。また、大沢池の広さはどうだ。さまざまな冬鳥も到来して、留鳥ともどもあまたいるのに、ちっとも狭さを感じさせない。あと千羽くらい飛来したとしても特別多いようには感じないのではないだろうか。

そのうえ、名古曾滝跡脇にある歌碑を見てはたちどころに百人一首55番藤原公任の歌と教えてくれる友もいて、なんともゴージャスな旅だ。

さながら

破れ傘の骨さながらに枯蓮

蓮根が旬だという。

全国の40%以上を占めるのが茨城県というのは、霞ヶ浦など湿地が多い条件が揃っているからだろうか。そのせいかどうか、関東ではわりによく見た蓮根も当地では値段が高いようである。
その大和盆地の大半はかつては湿地帯だったので、もっと蓮田があってもいいはずなのだが意外に少ない。あったとしても周囲が宅地化などで開発されて、肩身のせまい思いをしているような蓮田もある。そうなると人の手も入らぬのだろうか、破れ蓮から枯れ蓮になった今も放置されたままで、そばを走るダンプカーの舞いあげる砂塵をかぶるだけだったりする。

追)破れ傘(やれがさ)
「破れて骨が折れた傘」という意味で使ったのだが、植物で夏の季語にあるそうである。
そうなると下の方がシンプルでいいかもしれない。

骨折れし傘さながらに枯蓮