サイン

梅雨留守の合間にはたす一仕事

梅雨と言っても梅雨ではない。

かと言ってかっと晴れた梅雨晴れ間でもなく、いわば梅雨と梅雨晴れ間の間隙。
今日はそんな一日であった。湿度こそ振り払いたいほどの粘着質的なものがあるが、曇り空で気温もいくぶん救われる日。
ここぞとばかり、やりたくても暑さでやれなかったことを一掃しようと畑へ出かけた。
ところである、ものの三十分ほどで音を上げてしまった。体が異常に発熱するようでそれ以上いたら危険というサイン。
這々の体で逃げ帰る始末となった。
だんだん無理が利かなくなってきたようである。

梅雨兆す雨に両襟かきあはす

長袖シャツでも寒いくらいの日である。

おのずから両袖をおろし襟元の釦もしっかりかけるのだが、それでも何かしていなければ肌寒い。
雨も降ったり止んだりの一日で、梅雨入りも近いことを思う。

濃淡

新聞の束ね緩みて梅雨最中

今日は資源塵の日。

新聞、雑誌、段ボールなど街角の所定の場所に積み込んで回収を待つ。
しっかり縛ったつもりだが、その重さゆえか束ねる紐がゆるんでなんともバランスが悪い。
何回かに分けてかろうじて持ち込んだものの、作業員の方には苦労かけたことだろう。
折しも日本海側では梅雨終盤の豪雨が西から東へ大きな被害をもたらしながら移動している。
太平洋側は梅雨が明けたも同然の状態だが、近年は豪雨がもたらす災害地域の濃淡が激しく、明日は東北地方が過去にない規模の災害が出るかもしれないと警戒を呼びかけている。
極端な傾向にある気候の先が気になる。

7坪

梅雨の泥束子で落とす長靴かな

このところ雨が多いので毎日長靴で畑通い。

車のトランクも泥だらけ。いつか洗わなきゃと思いつつ、天気の悪さや暑さを言い訳に引き延ばしている。
だがゴム長は、毎朝外栓で猫のトイレを洗うので玄関に置くには都合が悪いのでしょっちゅう洗う羽目になる。
束子でごしごし、その後干してすっきりと。さあ、明日も頼むよと。

このほど追加で7坪ほど借りられたので、寸法など測りに。5メートル四方の使いやすい土地である。
夏野菜は一か月出遅れたので秋冬野菜が間に合いそうもなくどうしようかと案じていたが、これで葉ものなどいろいろチャレンジできそうである。まずはニンジンからになろうか。

僥倖

厚き雲へだてて梅雨の月の食

だめと分かっていてやはり仰いでみる。

一面の厚い雲のどこかで今何年ぶりかの天体ショーが広げられているのだが空振りである。これも記録的に早い梅雨のせいで仕方あるまい。
もし晴れていればスーパームーンだというから見事な月食立ったにちがいないが、あと3年は来ないと言うから僥倖にあずかれるのはお預けということか。

幽玄

雲湧いて平群墨絵の梅雨の闇

久しぶりにデンタルクリニック。

歯石除去が目的だから、この二ヶ月間中断していた治療もとくに急ぐ必要はない。
小耳にはさんだ話だと、いままで歯科で新コロナウィルスに感染したというケースはないそうである。だから杞憂で終わったわけだけど、やはり密な状態で治療を受けるわけだから当座は注意しなければならないだろう。
昼頃雨が小休止して平群谷の周りの山々に雲がわいてきた。雲も低く垂れ込めたままで、谷全体が墨色に染まって幽玄の世界を醸し出した。

おっちゃんの地味な傘

舟券を手挾みにして梅雨の傘

いまどき馬券、車券の類いはインターネットでも買えるというものだ。

五月雨の中、よほど好きでないと現地や場外売場まで出かける人はいないだろう。
しかし、レースそのものを眼前に見ることが好きなおっちゃんたちは、舟券を傘を持つ手に無雑作に重ねている。
ちょっと雨に濡れて、折れないかとは気になるが。