清涼剤

青梅の落ちてもぎ採るるかさもなし

いくつか実をつけていたのでもしやと期待していた。

ところがここのところの雨が多いせいか、あるいは風が強かったか、足もとに来てみればまだ固い実のままでずいぶん転がっている。
一キロくらい採れれば今年も梅シロップを楽しめるかと期待していたのだが、期待のままで終わりそうである。一キロ程度なら買ってくればいいものだが、買うとなるとやはり最低二キロくらいは欲しい。自前だからこそ貴重だと思えて一キロで我慢できるのであって、買ってまで時間をかけてシロップを作るとなるとやはり物足りないのである。
昨年仕込んだシロップがそろそろ飲み頃を迎えてきた。梅雨どきのじめじめとした鬱陶しい時期、汗もなかなか引かない風呂上がりなどにコップ一杯の梅ジュースはすかっとするものだ。自宅では呑めない口なので梅ジュースは蒸し暑い夜の清涼剤となる。

難点

青梅の重き楽しむ梅仕事

充実した青梅が2キロくらい採れた。

東京から持ってきた梅だが、ちゃんと花が咲いてしっかり梅の実を収穫できたのは今年が初めてだ。
「桜剪るバカ、梅剪らぬバカ」というが、梅の素人剪定はけっこうむずかしいところがある。どういう風に剪ればというのは書物なりウェブで調べれば分かることだが、何が難しいかはその時期で、書物や人によって言うことはまちまちなのである。
ある人は花梅のことを言い、またある人は実梅のことを言う。
花も実もという考えるひとはあまりいないようで、去年当たりからようやくそのポイントがつかめたような気がする。
まず、実を収穫したら一回目の剪定。梅は夏に来年の花芽を形成するのでその前に枝を整える。花を咲かせ実を生らせるには、要するに短い小枝をたくさんつけさせるのがポイント。今年ぐんと伸びた長い枝を整理しながら残すものは切りつめ、夏までに新しい小枝をいっぱい発生させるわけだ。
二回目は冬、花が咲く前に込み入った枝を整理する程度にとどめる。
一般には花が咲き終わったら剪定というのがセオリーだが、これは花梅の話。実は花が終わったらつけるわけだから花の終わった枝を除去してしまったらつける実が少なくなってしまうのである。
明日はこれで梅ジュースを作る予定。あまりにうますぎて夏本番になる前になくなってしまうのが難点である。

弾んで転ぶ

青梅の固き音して落ちにけり

麦わら帽がうっかり触れた。

そしたら若い梅の実がことりと落ちた。
ちょっと弾んで転がった。

青梅の運命

期待してをらぬ青梅のことしまた

猫の額の庭だから、花こそ楽しみにしているが果実など期待してはいない。

実梅を採るには枝を横に広げるようにして育てるので、一般家庭の庭にはどだい窮屈である。

庭の青梅

ところが、春に刈り込んだ枝にはもう葉がびっしりと茂っているが、近づいてみると葉陰に何個か実をつけているようである。それも割合に大きめで間もなくすれば収穫できるくらいに立派な青梅だ。
ただ如何せん、数が足りようもないので放置するしかなく、やがていつの間にやら落ちているのを見かける程度である。
この春、その落ちたと思われる実から芽が出て5センチほどに育ったのを発見したが、それもいつの間にやら枯れてしまったようで今ではどこにも見つからない。

食えぬ実

青梅の葉に隠れるを見つけたる

枝垂れ梅なので実がならぬものだとばかり思っていた。

木の下に二つ三つ小さな実がおちているので、調べてみると果たして一本の枝にだけやせた実が何個かついている。やがて落下するだろうが最後まで手をつけないで自然に任せておこう。